産業医面談でウソをつく社員さんもいます。「ああ、ウソをつかれているなぁ…」と思いながら話を聞いていると、かなり複雑な心境となります。面談後に「ウソだと判明する」というケースもあったりします。
こうした社員の「ウソ」に、産業医としてどう対応すべきなのか、今回の記事では今までの経験を踏まえてその対処法について書いてみたいと思います。
ウソをつく=「産業医への不信感」の裏返しのことも
社員さんの立場で考えると、「自分に不利なことを言うと、復職できないかもしれない」「有無を言わさず休職させられるかも…」などと思ってウソをつく可能性があります。
仕事ができないと稼げず、結果として生活が立ち行かなくなる可能性もあります。そうなりますと社員さんも必死ですから、仕方なくウソをつく、ということもあるわけです。
こうしたことの背景は、「産業医は信用できない。会社の側に立つ人間で、こっちの味方にはなってくれない」という思いがある可能性があります。
そのようなことも考え、「ウソつかないでくださいよ」と責めたりするのではなく、まずは「何がなんでも復職させなかったりしませんよ」「有無を言わさず休職させるなんてことはありませんよ」といったメッセージを繰り返し伝え、誤解を解き、相談相手としての信用を勝ち取る必要があると思われます。
記録に残す
上記のようなことを行っても、それでもウソをつかれることはあります。そのような時には、面談中にしっかりと記録に残しましょう。
それは「発言を残しておく」という意味合いもありますが、目の前で「発言を記録している」ということを社員さんに示す意味でもあります。
「ウソをついていることが、記録に残されてしまっている。そのことが人事側へ共有されてしまうかもな」という、ある程度は「ウソの抑止力」として働いてくれるのでは、と私としては思っています。
上司・人事への報告・連絡・相談を密に
「何度たしなめても、それでもウソをつき続けられてしまう」というような場合では、「ウソと見抜けないのか」あるいは「社員の言葉ばかり信用するのか」と思われてしまう可能性も考え、しっかりと上司、人事に「面談ではこのようなことを言われていまして…」と、報告・連絡・相談を行っておくことが必要です。
ウソをついて復職したような場合では、やはり無理が生じて再休職となってしまう可能性も高いと思います。そのような時にどう対応するのか、あらかじめ話し合っておくことも大事だと思います。