産業医が企業から相談を受けた時も「早いレスポンス」を心がけるべき理由

産業医にとって、社員から「相談を受ける」ということはとても大事なことです。というのも、産業医というのは社員にとって言わば「医学分野のスペシャリスト」(実際のところ私を含めて「ある程度の臨床経験を経て、今は産業医をやっている」程度の人が多いでしょうけども)であり、医学分野のことについては相談すべき専門職であるはずです。

それが全くお声がかからず、相談もされないということになりますと、「なんであの人は高い給料を出して雇っているんだろう?」ということになりかねません。

企業はそこらへんはシビアで、価値あるものにはお金を出しても、コストに見合わないとなりますと、すぐに切ろうとしてきます。下手すると、「来期は契約を結ばない=クビ」ということになりかねません。

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その中で、今回は産業医としてあるべき姿勢の一つとして、「早いレスポンス」を心がけるべきということについて書いてみたいと思います。

「産業医のレスポンスが遅い」とどうなるか

企業が産業医に相談をするという意味は、「産業医のコメントを元にしてなんらかのアクションを起こしたい」ということです。つまりは、産業医の意見を参考にし、そこから会議にかけて問題点の改善などを図りたいというわけです。

となりますと、産業医の意見がなかなか聞けないとなりますと、そこで次ならアクションへ繋げていけないことになってしまいます。つまりは「産業医の意見がまだ出てこないから待ち」状態になりかねません。

「レスポンスが遅い」ということでありますと、それだけで「あの先生、レスポンス遅いから今回は相談いいや」ということになり、相談自体されなくなる可能性があったり、「あの先生は反応遅いんだよなぁ…イライラ」と社員が不満を募らせてしまう要因となります。

そもそも「レスポンスが遅い」のはなぜか

相談に対して「レスポンスが遅い」のはなぜかと言いますと、基本的には

・そもそも知識や経験が足りない。

・判断や提案をするのに必要な情報が足りない。

・面倒くさくてついつい回答を後回しにしてしまう。

というような要因があると思います。「面倒くさくてついつい回答を後回しにしてしまう」は論外として、知識や経験、情報不足が原因で簡単に言ってしまえば「分からない」ということが多いと思います。

分からなかったら、まずは文献などで調べることも重要ですが、それよりもまずは「現場に精通している人に直接話を聞く・相談する」「関係者を集めてディスカッションをする」ことから始めた方が、時間がかからずに手っ取り早く事は進むと思います。一人で悩むだけでなく、こうした必要なアクションを起こしていくことも大事なことではないでしょうか。

信用を勝ち取るには

こうした一つ一つの相談に、真摯に向き合うことが信用を積み重ねていくことになります。それができていませんと、やはり「あの先生に相談しても無駄」ということになりかねません。

実際、私も知識不足・経験不足もあり、「なんとかごまかせないか」と思って回答を先延ばしにするということがありました。結果、信用を失ってしまい、相談もされなくなり、結局は「契約打ち切り」という憂き目に遭いました。

ぜひ私と同じ轍を踏むようなことがないよう、相談に対して「レスポンス早く対応をする」ことを心がけていただければと思います。

ただ、それでもクビになってしまうということもありえます。そのような時にはあまりくよくよ悩むようなことはせず、リクルートドクターズキャリア[PR]や、エムスリーキャリアの転職エージェントに相談して転職活動を再開させていただければと思います。

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