産業医資格は初期研修中にとっておくべき3つの理由

産業医として働くには、医師免許のほかに、労働安全衛生法で定めた要件をクリアし、資格を得ることが必要です。資格取得には、いくつかのパターンがあり、日本医師会の研修を修了し、産業医資格を取得する方法が一般的だと考えられます。

日本医師会では、産業医学基礎研修を50単位以上修了することで、日本医師会認定産業医の称号と認定書が付与されます(認定産業医の有効期間は5年ですが、更新をしなくても、産業医として働ける資格までもが喪失されるわけではありません→認定産業医の資格、まだ更新しますか?)。

ちょこちょこと研修を受けて、資格をとるという方法もありますが、「前期研修:14 単位以上」「基礎研修会 実地研修:10 単位以上」などと決められており、それぞれの研修を個々に受講していくのは、結構大変です。

そこで、産業医科大学、自治医科大、防衛医大をはじめ一部の大学医師会では6~7日間程度で50 単位を一括して取得できる研修会を開催しており、そこを受講する方が手っ取り早いと思われます。

今回は、この産業医の資格を、初期研修中にとっておくべき理由について書いてみたいと思います。

1) 産業医研修会は、臨床にも役立ちます

内科の外来で診療を行ってますと、様々な背景のある患者さんがいらっしゃいます。会社でのストレスを抱え、身体的な症状が現れる患者さんも、結構多かったりします。

そのような方の診察を行う際、すぐ「それはこの科の担当じゃないから」などと言うのではなく、(産業医的な対応として)患者さんの話に耳を傾けたり、「会社の産業医や医療スタッフに相談してみてはどうでしょうか」「精神科受診した上で、上司に相談し、勤務条件などについて話し合ってみてはどうでしょうか」といった具体的なアドバイスが、産業医研修会でメンタルヘルスについて学ぶと、出来るようになるのではないでしょうか。

「単位だけ集めるだけのスタンプラリー」とは思わず、講習をしっかりと受けておくと、臨床にも役立つ収穫があったりします。

2) 研修後の選択肢が広がる

初期研修後、多くの方は大別すると「内科・外科・マイナー」という選択肢を選ぶことになります。ですが、資格を習得していれば、そこに「産業医」という選択肢が一つ増えることになります。

初期研修終了後、すぐに産業医を目指すという方も少ないと思いますが、「内科に入局したけど、思っていたのと違った…別の道を選びたい」といった時に、産業医という選択肢もある、と思うことで、心の余裕が全く違うと思います。

3) 初期研修後、産業医研修会に行くのは大変

初期研修後、「産業医研修会に行きたいので、休みをいただけないでしょうか…」と言うのは結構、大変だったりします。そんなことを言い出した日には、「なんだ?お前、辞めるつもりか?」などと、痛くもない腹を探られることにもなりかねません。

そこで、まだ研修医の時ならば、産業医研修会のために休みをとるのは、比較的お願いしやすいと思います。研修会を狙って、そこに夏休みを入れておいたりすることができれば、より穏便に済ませられますね。

以上です。
もしご興味のある研修医の方々がいらっしゃるようでしたら、
産業医の研修会一覧」をご参考にしていただき、研修を受けられてみてはいかがでしょうか。

実際に産業医を目指されるようでしたら、
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などで相談すると、産業医研修会などについてもアドバイスをエージェントからいただけるようです。

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