「正しさ」は時として人間関係における「鋭利なナイフ」になってしまうという話【産業医マニュアル】

私が後期研修医時代に勤務していた病院では、医長2人体制という、少し変わっていたところでした。その医長たちが仲良ければ話は別なんでしょうが、仕事の話以外は一切しないというぐらいドライな関係で、飲み会でも話しているのを見たことがありませんでした。

キャラクターはと言うと、実質的なトップ(科の立ち上げを行った)となるA医長は温厚で多弁なタイプ。もう一人のB医長は寡黙で人間関係も不得手なタイプでした。

B医長は普段、他の医師と話しをほとんどしませんが、カンファレンスだと人が変わってしまいます。「あの検査は行ったのか?」「鑑別は?本当にその診断なのか?」「治療の順序が違うぞ」などなど、細かなミスであっても逐一指摘していき、「B医長対策」がなされていない場合ですと、サンドバッグ状態になってしまいます。

たしかにB医長の言っていることも一理あるどころか、臨床上助かる部分は多いのですが、日頃からコミュニケーションをとっていてのに、このような指摘を一気にされてしまうと「えっ…」と戸惑ってしまうわけです。

また、言い方もぶっきらぼうで、フォローもなくミスばかりあげつらうようであったことも、聞く側は萎縮してしまう要因になっていたかな、と思います。

「正しい意見」というのはあってしかるべきだとは思うのですが、普段のコミュニケーションなどを含めた人間関係、あるいは伝え方を誤ると「鋭利なナイフ」となって聞く側を傷つけることもあるのかな、と思うわけです。

ですがこの「普段は寡黙でコミュニケーションをとらず、会議やミスを指摘する場面でヒートアップしてしまう」というタイプ、意外と管理職の中にいらっしゃるように思います(真面目・寡黙・細かな性格で、着実に仕事をするタイプ)。普段のコミュニケーションや、伝え方を気をつけることで、「パワハラだ!」と誤解されてしまったりすることを防げるようになるのではないでしょうか。

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