産業医として社員に「セカンドオピニオンを求める」ことを提案するのに躊躇すべきではないと思った一件【産業医マニュアル】

他社の事案として伺った話ですが、腰椎椎間板ヘルニアで通院中の男性社員がいたそうです。その社員、メディアにも取り上げられている有名整形外科クリニックを通院していたのですが、次第に症状が悪化し、歩行も杖を使用せざるを得ず、なおかつ下肢のしびれ感も増悪していたそうです。

そんな状況の中、本来ならば手術の提案などもあってしかるべきなのでしょうが、「保存的治療で症状が改善する可能性もあるから」と言われ続けたそうです。しかしながら上記のような症状もあり、会社をたびたび休むようになりました。

結果として転倒してさらに追い打ちをかけるようになり、症状が悪化してようやく「手術を」という話になったそうです。しかしながら、手術やリハビリ期間を考えますと、ついには同一傷病名での休職日数の合算で休職期間満了となってしまい、有名医師を信じていたその社員はついに退職せざるを得なかったそうです。

もちろん、社員は主治医に全幅の信頼を置いていたようであり、なかなか産業医として「セカンドオピニオンを」とは言いづらい状況だったかもしれませんが、やはりそれでも勇気を持って「他の医師に意見を聞くのはどうでしょうか」と提案する勇気も必要だな、と思った次第です。

実はこうした事案、メンタル疾患を患った社員が「高額サプリメントばかりを売りつけるクリニック」に通っていたり、あるいは「ウチは内服薬に頼らない方法で治療をしています」などということを謳い文句にしているクリニックに通院していて、かえって症状が悪化していっている時にも「これは他院受診を勧めねば…」と思ったりもします。

他社での今回の一件を聞くにつれ、「このままではダメだ!」と思った時点で、その主治医の批判をするのは少々問題かとは思われますが、そうではなく「セカンドオピニオン」を提案することは必要なのかな、と改めて思いました。

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