【産業医面談】監査部に異動して「潰れた社員」と「活き活きとした社員」の違い

監査室に異動した40代のAさんと、少し遅れて異動してきた30代のBさんがいました。ともに前の部署でメンタル不調により休職し、監査室で復職という形となりました。

私が産業医としてAさん、Bさん、ともに休職および復職に関与しており、復職後も面談を定期的に行っていました。

そんな中、Aさんは段々と元気がなくなって頻繁に休むようになり、一方でBさんは活き活きとして楽しそうに仕事をしています。今回の記事では、こうした違いがなぜ生じたのかについて書いてみたいと思います。

監査室の業務

監査室の業務としては、社員の規律違反はないか、またこの企業では顧客のお金を扱うため、会計についての監査も目を光らせる必要があります。

こうした業務を、Aさん、Bさんともに行っていました。職位も同じですので、社歴で言いますと先輩・後輩という立場ではありますが、業務内容としてはほぼ同じです。

ですが、Aさんは次第に体調不良を自覚し、Bさんは楽しそうに仕事をしていたわけです。Aさんは次第に業務自体をサボタージュし、上司から会議の場で叱責されました(本来はこんなに熱くなるタイプの上司ではありません。よほどAさんの態度・言動にカチンときたようです)。

Aさんの心境

上司から叱責され、その日からAさんは体調不良を理由にしばらく休職しました。そのことを把握した人事部から連絡があり、私が再度面談を行うこととなりました。

その中で、Aさんは「なぜ業務を意識的にサボタージュしたのか」という話をしてくれました。Aさんは前の部署で、監査対象となる人たちと同じ立場で働いており、「彼らの言い分、気持ちが十分に分かる。だから監査の業務をしていると、彼らを裏切って苦しめているような気持ち、罪悪感を感じてしまう」とのことでした。

つまりは、監査対象としている人たちに同情してしまい、問題点を指摘して改善を求めるたびに辛い思いをしてしまう、ということのようです。

Bさんの心境

ですが、むしろ活き活きと働くBさんに、その理由を聞いたところ「問題点は指摘しますけど、現場の社員と一緒に改善案を考えるのが楽しい」「問題点を指摘するだけではなく、会社全体の業務の効率化・改善を考えていけるのはやりがいを感じます」とのことでした。

罪悪感すら感じてしまうというAさんとはかなり対照的です。もちろん、どちらが悪いということではありませんが、こうした業務のミスマッチもあるのだな、と思った次第です。

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