産業医として社員との面談を円滑に行うためのちょっとしたコツ【産業医マニュアル】

産業医として多くの社員さんと面談を行ってきましたが、やはり最初は警戒していたり、お互いに距離を感じていたりして、なかなか円滑に話ができないということもあります。

最近では距離の詰め方も慣れてきて、30分~1時間の中で必要なことを聞き出すこともできるようになってきました。そこではちょっとしたコツがあり、私としては「共通の悩みなどを語って、親しみやすさを感じてもらう」ということが効果的かな、と思っています。

社員さんの中には、「医者のアンタらには、私らのことは分かりませんよ」「どうせ産業医なんて、他人事と思って私らの話を聞いてるんでしょ?」と内心思ってる人もいます。「話しても無駄」ということで、表面的な受け答えで義務的な面談を終えようとしてくるわけです。

そんな時、「不眠でお悩みですか。辛いですよね、不眠。私も経験があって。ただでさえストレス抱えてて眠れなくて大変なのに、その上、体力削られちゃうんですよね」「転職2回目でこちらにいらっしゃったんですか?実は私も3回転職してまして」「イヤな上司っていますよね。分かりますよ、それで私も転職してるんで」…などといった、人間臭い共通の悩みを語りますと、「おっ、分かってくれますか」といった感じで話をしてくれることがあります。

特に、ストレスの要因となっているような上司や同僚について、本来は「本人の耳に入ったりしたら大変」と、話しづらそうにしていることが大半です。そんな時、「いますよねぇ、上司に同僚にミスとかをチクッて、自分の点数稼ごうとする人」「部下の意見も聞かずに、自分の思い込みで怒ってくる上司って、本当イライラしますよね」など、自分の経験がある場合には共感しつつ相槌を打ちますと、「そうなんですよ、実は…」などと話してくれることもあります。

基本的には、社員さんは産業医のことを、「会社側の人間。ヘタなことは言わないようにしよう」「立場が違うし、私のことなんか理解できやしない」などと思っている可能性があるということは認識しておいた方がよろしいかと思います。

そんな時は、「共通の悩み、共感できるポイントを押さえて親しみやすさを感じてもらう」ということをしますと、グッと距離が縮められるのではないでしょうか。

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