産業医として、メンタル不調をきたした社員さんと話をしておりますと、「このまま、この会社で働き続けるのは本当に正しいことなのだろうか？」と思うこともあります。
仕事や人間関係などについて聞いていますと、ネガティブな話ばかり。業務内容や量の調整、環境調整などをできるだけ図ってもダメ…という方はいるもので、その後は自ら退職(転職)を選ぶか、人事側からやんわりと退職を勧告されるか、休職中に休職期間満了でそのまま退職を選ぶか、といった結末になることが多いです。
他の職場で上手く適応して活躍してくれることを祈るばかりですが、やはり「合わない職場は、結局のところ働き続けるのは難しい」という元も子もない結論になってしまいます。
転職は逃げか？
「自分に合わない職場は存在する」という前提に立ちますと、やはり「そこで戦い続けるのは賢明ではない」ように思います。私が勤務医として働き続けていたら、と考えますと、きっとストレスを溜め続けて病気になるか、大きなトラブルを起こして大変なことになっていたのではないかという未来しか想像できません。
私は後期研修医の頃、「転職＝逃げ」と考えており、産業医に転職してからもその思いはずっとひきずっておりました。ですが、最近になって「転職は必要な、戦略的撤退だ」という考えに変わりつつあります。
合わない職場で迎える限界
合わない職場で耐え続ける、戦い続けることになりますと、消耗していつしか限界が来ます。その結果、メンタル不調を起こしたりすることになります。
その前に、「このままでは危うい」と、撤退することも必要な選択ではないか、ということです。もちろん、業務内容の見直し、業務量の調整などでなんとかなるならばそうすべきですが、それが適わない職場というのは存在し、また「自分に合わない職場」ですと、それも焼け石に水、となることも多いように思います。
客観的に自分を見直すには
では、そこでどうすべきかということですが、転職するかどうかは置いておいて、「まずは転職活動をしてみる」ということをすると、客観的に自分のことを見られるようになると思います。
転職の目的・希望条件をどうするのかを考え、求人情報を収集し、実際に見学に行ってみる…こうしたことをしておりますと、「あ、なんだ。もっと自分に合っている職場はあるじゃないか」と思えたり、逆に「今のところは相当恵まれているんだな…もう少し、あそこで頑張ってみようかな」と思えたりもします。
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