小規模な企業が次第に成長していく過程で、安全衛生の意識への高まり…というのは建前ですが、万が一、労基署に入られたときの対策として「どのようなことをやったらいいのか」という相談を受けることがあったりします。
話を聞くと、「衛生管理者の選任どころか、衛生管理者の資格を取得している社員がいない」「安全衛生委員会は、担当者と産業医が10分ほど話をするだけ(当然、議事録などもない)」「産業医巡視は、実際にやっているかどうか分からない(指摘事項などの記録もない)」「長時間勤務者の面談も当然なし」といったことだったりします。
そこで、安全衛生委員会の成立要件や、議事録、巡視記録を残すことの重要性などについて話をして、「では、まずここから取り掛かりましょう」といった道筋を立てることも産業医として大切な仕事でもあります。
企業、それぞれの悩み
肝心の、その事業場で選任されている産業医はどうかと言いますと、開業医の先生が担っておられていて、正直なところ「相談されてもよく分からない」という回答だったとのことです。
そのため、私が相談を受けることになったわけですが、常勤産業医ばかりをやっておりましたので、当然のことながら企業によってやっていること、希望としていることは様々であり、今更ながら勉強になることが多くあることに気付かされました。
一方、別の企業では、業種もあってか(建築分野)安全衛生への意識が非常に高くて、「えっ…私よりこの担当者の人の方が詳しいじゃん。これ以上、何をアドバイス求めようっていうのよ…」と内心焦っていたところ、「実は、メンタル不調者が多くて、どのように対応したらいいのか悩んでいて…」と相談されました。
話を聞くと、休職や復職、復職後の支援などについてのフローなどもはっきりとはなく、ケースバイケースで対応せざるを得ないとのことです。「あ、それならアドバイスできるかな」と内心、安堵しながら相談に乗ったなんてこともありました。
新たな挑戦として
嘱託産業医の先生方は、こうしたことをやってらっしゃるのかな、ということが少しながら垣間見れたような気がしました。衛生管理などの体制づくりをイチから構築していく面白さというのが、そこにはあるのかな、と思った次第です。
私の場合、すでにメンバーも体制もできあがった状態のところに入ったことばかりでしたので、「人をどう揃えるのか」「どのように業務フローを決めていくのか」といったことを考えていくのも楽しいことなんだな、と改めて思いました。
経験年数が10年を超えた現在、少し中だるみしてきた中で刺激的な経験ができました。ですが、嘱託産業医をメインで行うのではなく、常勤産業医の中でも、こうした「体制づくりをイチから」という求人も稀ではありますが、募集していることはあったりします。
もちろん、ある程度の経験年数や知識が必要とは思いますが、そうした職場に産業医としてチャレンジするのも楽しそうだな、と改めて思ったりもしています。もしご興味がありましたら、リクルートドクターズキャリア[PR]などに掲載されていることもあったりしますので、お問い合わせいただいてはいかがでしょうか。

