産業医のための入門書『産業医はじめの一歩』を現在読んでいるのですが、よくある画一的な入門書ではなく、実践でもつかえる、具体的で結構踏み込んだ内容でとても勉強になります。
さて、この本の中に、社員の状態を「7つのステータス」に分類して捉えると理解しやすいという内容が記載されていました。「健康度合い」と「業務遂行性(パフォーマンス)」の2軸でステータスを考える、というのが基本的な内容です。
就業可能な状態
1) 健康な労働者:業務遂行が100%前後の労働者
2) 不健康な労働者:業務遂行が70~100%未満程度に下がっている労働者
3) 復職後の労働者:長期休業の後、復職して3ヶ月以内の労働者
4) 生産性が低下している労働者:症状によって業務遂行性が30~70%まで下がっている労働者(多くの場合、同僚や上司がそのことを認識している)
就業は不可だが日常生活が可能
5) 短期休業の労働者:風邪や下痢症状など、2週間未満の休み、業務遂行が30%未満の労働者
自宅安静が必要
6) 長期休業の労働者:2週間以上の休み、業務遂行性が30%未満の労働者
7) 私傷病退職の労働者:長期休業の後、復職できなかった労働者
感覚的にはこうしたステータスは分かってはいましたが、実際、分類されているのを見ると「なるほどな」と納得できる内容でした。
付け加えると、不眠症状・抑うつ症状などが見られ、なかなか休業するのを渋っておられる社員さんも、「2週間程度の短期間、休業してみてはどうでしょうか」と提案して休んでみますと、「もう少し休みたいと思います」と、そのまま長期休業に入られる方も少なくない印象です。
ですので、短期/長期の見極めは「休んでみないと分からない」という部分があり、上司や人事側には「長くなる可能性もあるため、そのつもりで業務の割り振りなどをご検討ください」と伝えることもあります。
あと、業務遂行(パフォーマンス)の程度はなかなか判別が難しかったりしますので、ここは具体的にどんな支障が出ているのか、聴取する必要があると思います。「以前は、複数の業務を並行してできていたのに、今はそれができない」「書類に目を通して、なかなか頭に入ってこない」「業務が回らず、どんどんと溜まっていってしまっている…」といったことでしょうか。
ただ、上記のような分類がありますと、「当該社員は今、どの状態にあるのか」というのを社員さん自身や上司、人事側に具体的に伝えることができると思いますので、とても有用だな、と思った次第です。