産業医の立ち位置として、会社に肩入れしすぎることの問題点は以前から指摘されています。産業医が企業側の「クビ切りの道具」として利用されるケースがあるわけです。
産業医が「うつ病は甘えだから」などと面談で社員に言い放ち、病気休職を認めさせないといったケースもあるようです。また、適当な理由もなく復職を認めず、休職期間満了を狙って退職させてしまうといったケースも比較的多くあるようです。
これはやや極端な例かもしれませんが、スタンスとして「企業側への肩入れが強すぎる」と社員さんが感じた場合、「この産業医は信用できない」と思ってしまう原因になると思われます。
たとえば、面談で企業側のスタンスばかりを主張し、社員側の意見を真摯に聞こうとしない、受け入れようとしないということでしたら、「この産業医は会社側の手先」と思って、やはり社員の態度は硬化すると思います。
また、「人事側に話して欲しくない、面談で話した内容がダダ漏れ」などと社員が感じた場合も、やはり産業医を信用できないと感じる原因だと思います。この点、企業と社員の間に立つポジショニングは産業医として重要だと思います。
一度、信用を失ってしまうと関係改善、修復は困難です。そのため、社員側へは「自分の意見をしっかりと聞いてくれる、受け入れてくれる」と思ってもらえるように傾聴・受容を心がけるといった態度が面談では必要になると思います(当然、すべてを肯定・受容するつもりはなく、改善すべき点は指摘しますが)。