医師の仕事に「やりがいなんてない…」と思ってドロッポ医(泥医)になるのは間違いである理由

最近、高齢者の救急医療を中心としてやっておられるドクターという方のツイートを見て、「医者の仕事にやりがいがないと思った」と書かれておられました。ご高齢の方の医療、ということになると、たとえ救命できたとしても、その行く末を考えると…ということなのでしょう。

私自身、臨床医時代にご高齢の方を診療することも多く、同様のことを思って「もう医者やめたい…」と思っていたのをふと思い出しました。

無力感でいっぱいになり、「何のために医者やってんのかな?」と思ってしまう気持ちは理解できます。今回の記事では、医師が「やりがいなんてない…」と思ってしまった先について書いてみたいと思います。

医師免許が「食っていくための保障」に

上記のツイートをされておられた方ですが、同時に医師としての資格を「食っていくための保障」と書かれておりました。

この点、日々医師として研鑽を続け、真面目に働き続けておられるドクターからは反発を受けてしまいそうですが、その側面は否めないかな、と私としては思っています。

バイトの時給・単価も下がってはきているものの、それでもまだまだ一般の仕事と比べて高い今、バイトの中身を選り好みしなければ、まだまだ「食うに困らない」ということはたしかだと思います。

その結果、ドロッポ医(泥医)が誕生してしまう土壌になるとも言えると思われます。

「ドロッポ医師」が誕生するまでの3ステップ-きっとあなたはまだ踏み止まれる
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専門医資格取得や更新のハードルが高くなっている昨今、かつての私のようにドロッポ医となってしまう方が増えてしまうという懸念はあるように思います。

臨床から離れたからこそ分かること

せっかく医師として働くのだから、「やりがいがない」と思ってしまうのは悲しいし、もったいないように思います。

というのは、私は現在、常勤産業医の傍ら、非常勤の内科外来で勤務しているわけですが、この「臨床にどっぷり浸かっていない」状況からしますと、「治療行為」ばかりではなく、医師として患者に寄り添うといったことにも大きな意味があることなのだと改めて感じている次第です。

こうした心境の変化は、臨床医時代よりも年齢を重ねてきたという要因もありますが、それ以上に産業医となり、心身ともに余裕が生まれたからということが大きいかと思われます。

産業医としての仕事、あるいは外来バイトでも今ではやりがいを感じられる瞬間があります。立場や働く場所を変えることも、時には重要ではないでしょうか。

「心の余裕」を持つことの大事さ

多忙な日々に神経をすり減らし、疲れ切っている状態ですと、荒んだ思考にどうしてもなってしまい、「もうドロッポだ!」などと極端な考えになりがちになってしまいます。

少し休業したり、あるいはもう少し余裕のある勤務先に転職するといったことをしてみますと、また色んな見方や大事なものが見えてきたりもすると思います。実際、私も後期研修医時代はとてもじゃないですがご高齢の方々の長話に付き合うこともできませんでしたし、ややクセの強い方に調子を合わせることもできませんでしたが、今は苦もなくできるようになっています。

もちろん、全ての方に産業医になることをおすすめするわけではありませんが、仕事に悩み、辛い思いを多くしている方の方が、同じくメンタル不調に追い込まれるほど苦しんでいる社員さんの気持ちが分かるのかな、と私としては思っています。

もしちょっとでも産業医になってみようかな、ということでしたら、

【2024年度版】常勤産業医になるための完全ガイド(認定産業医になる~転職活動まで)
「産業医として働く」ということで言いますと、大まかに言って、一つの企業で常勤の専属産業医として働くのと、非常勤で嘱託産業医として働くという2つの形態があります。 簡単に言ってしまえば、「常勤」ですと雇われている企業に出勤してそこで働くことに...

このような記事も書いておりますので、ご参考になりますと幸いです。また、どのような求人があるのか気になるということでしたら、リクルートドクターズキャリア[PR]や、エムスリーキャリアなどの転職エージェントに相談しますと、ご紹介いただけますので、お問い合わせしてみてはいかがでしょうか。

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