産業医の「根拠のない復職拒否・退職」で裁判に発展したケースの問題点-主治医の判断を仰ぐ必要性について

社労士組合職員の退職無効、横浜 産業医判断に根拠なし」によりますと、「パワーハラスメントで休職後、復職を認めずに退職扱いとしたのは不当」であるとし、2名の社員が横浜地裁に提訴し、横浜地裁は退職を無効と認め、未払い賃金の支払いを命じています。

注目すべきは、産業医が「統合失調症」「自閉症」と判断し、復職不可としたのは「合理的根拠がなく、信用できない」と指摘されている点でしょう。

そもそも産業医が「統合失調症、自閉症と診断」という点からして、やはり違和感を覚えざるを得ません。産業医であるならば、精神科受診を促し、主治医による診断・治療を受けた上で復職について検討すべきであったと思われます。

川崎市の大手通運会社勤務の社員が、産業医により3度の復職を認めない判断を下され、休職期間満了で退職に追いやられ、結果裁判となったケースにも同様の指摘があります。

実は、このケースでも「産業医が主治医との意見交換をしていないこと」が問題点として指摘されていました。独善的な判断で復職可否判定を行っていると、やはり痛い目を見ると思われます。

そこで、「根拠がない復職可否判断」と言われないためには、
1) 生活リズム表など、客観的に示すことのできるデータ収集
2) 面談記録を詳細につけ、復職が不可能と判断した場合は理由をしっかり記載しておく
3) 主治医の診断書が出された場合、疑問があれば「主治医意見書」の記載を依頼する。
4) 休職・復職を繰り返す社員であれば、復職に必要な条件(生活リズムが整っていて、定時勤務が可能、休職前の80%程度のパフォーマンスが出せる等)を明示し、クリアできているかしっかりと確認する。

…といったことが大事なのではないでしょうか。また、上記二つの裁判例でもあるように、やはり主治医との意見交換は今後、重要なこととなっていくでしょうね。

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