2019年4月1日より、「働き方改革関連法」(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)が施行され、産業医の長時間労働者を対象とした面談において、変更すべき点があります。
今回は、「働き方改革関連法」の施行で産業医はどう対応すべきかについて書いてみたいと思います。
1)「80時間超/月」の基準に変更
従業員の申し出によって、面談を実施する残業時間の基準が、「100時間/月超」→「80時間/月超」により厳しくなっています。
「事業者が産業医に、残業時間80時間/月超の労働者の情報提供」を行うこととなっており、その情報を元に「労働者に面接指導の申し出を勧奨」し、その上で申し出のあった労働者に対して面談を行う、という流れになっているわけです。
現在、「残業100時間超/月」を対象としているようであれば、来年4月以降は「80時間超/月」に変更する必要がありますね。
2) 面談後の措置をしっかり実施
面談を実施した後、措置がしっかりと行われているかを確認することも必要であるということも盛り込まれています。
面接指導を実施
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産業医が、労働者の措置等に関する意見を事業者に報告
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事業者が、医師の意見を踏まえて必要な措置を講じ、措置内容を産業医にフィードバック。
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産業医が、措置状況を確認。必要があると認める場合は、事業者にさらなる勧告を行う
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事業者が、産業医の勧告内容を衛生委員会に報告する。
という流れになります。産業医、事業者が互いにフィードバックを行うことが必要とされているわけですね。
3) 労働時間の把握が行われているかチェック
「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」というガイドラインが以前から示されていました。
ですが、安衛法 第六十六条の八の三で、「事業者は、第六十六条の八第一項又は前条第一項の規定による面接指導を実施するため、厚生労働省令で定める方法により、労働者(次条第一項に規定する者を除く。)の労働時間の状況を把握しなければならない」と法律化されており、より厳格にチェックする必要があると思われます。
産業医としましても、「しっかりと労働時間が把握されているか」については気を配る必要があると思われます。