産業医が「Skype」などのオンラインツール(情報通信機器)を使って面談をしていい範囲について

産業医をしていますと、やや遠方の社員さんと面談をすることになり、わざわざ社員さんに来ていただくこともあります。ですが、長時間勤務者を対象とした面談の場合、「移動するために残業」するようなことがあると、本末転倒であると思われます。

そこで、「Skype」などのオンラインツールを使って面談をすることを検討している先生や企業も多いとは思われます。今回は、その「オンラインツールで面談をしていい範囲」について書いてみたいと思います。

厚労省の「情報通信機器を用いた面接指導の実施について」という通達があるのですが、こちらによりますと、面接指導を実施する医師が、以下のいずれかの場合に該当することが必要とのことです。

1) 面接指導を実施する医師が、対象労働者が所属する事業場の産業医である場合。
2) 面接指導を実施する医師が、契約(雇用契約を含む)により、少なくとも過去1年以上の期間にわたって、対象労働者が所属する事業場の労働者の日常的な健康管理に関する業務を担当している場合。
3) 面接指導を実施する医師が、過去1年以内に、対象労働者が所属する事業場を巡視したことがある場合。
4) 面接指導を実施する医師が、過去1年以内に、当該労働者に直接対面により指導等を実施したことがある場合。

また、この面接としては、「いわゆる長時間労働者に対する面接指導および、ストレスチェック制度における面接指導」を想定しているとのことです。

さらに、情報通信機器については、

1) 面接指導を行う医師と労働者とが相互に表情、顔色、声、しぐさ等を確認できるものであって、映像と音声の送受信が常時安定しかつ円滑であること。なお、映像を伴わない電話による面接指導の実施は認められない。
2) 情報セキュリティ(外部への情報漏洩の防止や外部からの不正アクセスの防止)が確保されること。
3) 労働者が面接指導を受ける際の情報通信機器の操作が、複雑、難解なものでなく、容易に利用できること。

という要件があります。

導入に当たっての環境作りとしては、

1) 情報通信機器を用いた面接指導の実施方法について、衛生委員会等で調査審議を行った上で、事前に労働者に周知していること。
2) 情報通信機器を用いて実施する場合は、面接指導の内容が第三者に知られることが
ないような環境を整備するなど、労働者のプライバシーに配慮していること。
3) 情報通信機器を用いた面接指導において、医師が緊急に対応すべき徴候等を把握した場合に、労働者が面接指導を受けている事業場その他の場所の近隣の医師等と連携して対応したり、その事業場にいる産業保健スタッフが対応する等の緊急時対応体制が整備されていること。

が必要とのことです。

一通り目を通したことで言えば、さほどハードルは高くなさそうですね。本社が東京にあり、そこの常勤産業医が横浜の支社も担当しているようなケースで、「わざわざ該当する社員さんに東京へ来てもらう」といったことはなくすことができそうですね。

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