採用面接と一口に言っても、産業医と臨床医とでは大きく異なります。もしかしたら、産業医を志して企業に面接を受けに行くと、その違いに戸惑うかもしれませんね。
そこで今回は、産業医の面接を受けにいく上での心構えや、事前準備について書いてみたいと思います。相手が企業ということもあり、病院での採用面接との違いに焦点を当て、比較してみました。
1) 面接を主導するのは誰か
臨床医の場合、業務の話となると当然、医療の専門性の高い話となりますね。そのため、面接を主導するのは出席している医療者(ドクター)となる可能性が高いです。
ですが、産業医の場合は医療というよりは、企業の中で社員や人事と上手くやっていけるかといったところを見ていますので、人事などの事務方である採用担当者が面接を主導するケースが多いように思います。産業医が1人だけのケースもあるため、そのときには保健師さんが同席して質問をしたりしますが、やはり主導は採用担当者となります。
ただ、大企業で複数の医師が既に産業医としており、採用にも大きく関わっているようですと、産業医自身が採用面接を担当することがあります。そのようなケースですと、実務についてバシバシとツッコんで訊いてくることもあり、そのときには今までの経験を総動員して回答しなければならないこともあり、ご注意ください。
2) 質問内容
臨床医の場合は、実務について、どの程度の技量や知識があるのかといったところ、先生の人柄などについての質問をされる可能性が高いと思われます。
一方で、産業医の場合、会社員の方の中途入社面接のようなことを訊かれることがあります。たとえば、「今までの仕事で、あなたが一番苦労したことはなんですか?」「困難という言葉を聞いて、どんなことを思い浮かべますか?」など、入社面接のマニュアル本で見かけるような質問を採用担当者から訊かれることもありました。
他にも、「メンタルヘルス疾患対策として、どんなことを今までしてきましたか?」といった実務的なものから、「今後、働いていく上で、どんなビジョンをお持ちですか?」など、その場で考えて話をするには困難な質問を受けることもあります。
3) 面接回数・雰囲気
臨床医の場合、面接する回数は1度で終わるところが多いです。ところが、産業医が企業で受ける採用面接は、出席する人が変わり、2~3回行われることが多いです。さらには、応募者多数であると、書類選考で落とされることもあります。
面接の雰囲気も異なります。臨床医の場合は、医師同士の話し合いの場、といった感じですが、産業医の場合は、まさしく企業面接です。一般的な面接のマニュアル本でマナーを学んでいったほうがいいです。
また、企業の場合は、圧迫面接ではないですが、やや意地悪な質問や、イヤなところを突いてくる面接官の方もいます。できるだけ冷静に対処し、上手く切り抜けていただきたいと思います。
以上です。
産業医面接では、面接におけるマニュアル・マナーを学び、質疑応答についての事前準備など、ぜひしっかりと用意を行ってから臨んでいただきたいと思います。
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