「産業医のあるべき姿」を問われた採用面接での「模範解答」のようなフレーズを求人票で発見

私は産業医として3回の転職をしているため、企業に採用面接を10社以上受けに行っています。そこで、「産業医のあるべき姿とはどのようなものですか?」「産業医として企業と社員の間に立つとして、どのような立ち位置であることが理想と考えますか?」と質問されることがありました。

この質問、複数社で聞かれていますので、企業側も気になっているようです。「社員べったりで企業側の話を聞いてくれないんじゃ困る」ということも背景にあるのではないでしょうか。

この質問に、どう答えるか?

私は「常に中立でありたいと思い、双方の話に真摯に耳を傾けたいと思っています」といったことをよく回答していましたが、面接官の反応としては「ありきたりだな」「うん、まぁそうだよね」といったものだったように思います。

たしかに、「何か足りないなぁ」と感じていましたし、立ち位置=中立というだけでは「産業医としてあるべき」ということの説明になっていないように思います。

「完全に企業側に立ちます」という人もいましたが、それもまた上記同様、立ち位置だけの話になってしまっているということになりますね。

「なるほど」と思った回答例

そんな中、リクルートドクターズキャリア[PR]に掲載されていた、三重県のとある企業の産業医求人票に、「求める産業医像」として、以下のような一文がありました。

専門職であることと所属組織の一員であることを両立させる心構えを持ちつつ、労働者および事業者との円滑な意思疎通を図れる方

これを見て、「上手い言い回しだなぁ」と思った次第です。ともすると産業医=医師は、専門職であるがゆえに「べつに浮いた存在であろうが構わない。深く関係性をもたなくても構わない」といったスタンスになってしまう可能性があると思います。

結果、「ろくに話をきかない、コミュニケーションをとろうとしない」となってしまい、現場にそぐわず、社員にとっても不利益な一方的な提言・勧告を乱発するようなことになってしまうこともあるわけで、「それじゃ困ります」というのが明確に示された一文だと思いました。

「専門職であることと所属組織の一員であることを両立させる心構え」ということが大前提としてあり、なおかつ「労働者および事業者と」しっかりコミュニケーションを図ろうとするという姿勢は、やはり産業医にとって大事なことだと思います。

もし次の転職活動が必要ということでしたら、この言い回しを使わせてもらおうと思いました(笑)

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