産業医として、前職の企業を退職して次の企業に転職するとなった場合、「退職理由」は必ずと言っていいほど聞かれると思います。
企業側としても、「問題のある辞め方」をした産業医は採用したくないと思うのは当然のことだろうと思います。たとえばですが、
・人間関係が嫌で辞めた→職場に適応できない自分勝手な人の可能性もあるのでは?
・仕事の内容が嫌で辞めた→仕事を選り好みする人なのか?
というふうに思われてしまう可能性があるわけです。また、不平不満を口にすると、「どうせウチでも同じように不平不満を持つんだろ」と思われてしまうかもしれません。「退職理由」は、こうした部分を見極めるための質問と思っておいた方がいいと思います。
採用面接で「退職理由」をどう答えるべきなのか、ということについて今回の記事では書いてみたいと思います。
本音と建前
そもそも、職場での不平不満を持っていなかったら、よほどの理由でもない限り転職をしようとは思わないわけで、なんらかの「退職理由」はあるはずです。
ですが、その本心をそのままぶつけて良いものかどうかというのは別問題です。「人間関係に疲れたから」「上司が嫌な奴だったから」「こき使われているのに、待遇が悪いから」…といったことをそのまま伝えてしまうのは好ましくありません。
では、「退職理由」をどう伝えるかと言いますと、やはり一般的には「ポジティブな理由を伝えること」が望ましいと言われています。
ポジティブな理由とは
ネガティブな退職理由を、「前職に不満を持っていて辞める」とするならば、ポジティブな退職理由とは、「キャリアアップなど前向きなことに繋がる理由」となります。
具体的には、「今までは産業医一人体制でしたが、やはり御社のような産業医の先輩方が所属されている企業で働かせていただくことで、より知識や経験が得られると考え、転職を希望致しました」「御社のような、より社員数の多い大企業でさらに研鑽を積みたいと考えました」などです。
先述のように、前職の悪口を言ったり、批判を行うようなネガティブな退職理由を伝えると、やはり「こっちに移ってきても、同じように不平不満を持つのでは」と思われる可能性があり、避けるべきであると思われます。
また、こうしたポジティブな理由を伝えておけば、入職希望の理由(志望理由)にも自然とつなげることができるというメリットもあります。
例外も
しかしながら、「本当の退職理由」を伝えざるを得ないという場合もあると思います。以前、とある大企業が多角経営の末に巨額赤字に転落し、あわや「倒産か…」という状態になったと発表されました。その際、その企業および子会社・関連会社の産業医求人が多く出ていました。
おそらく、報道を受けて次々に産業医が退職していったのだと思いますが、これはさすがに産業医を募集している企業側も察しがつくため、本当のところを言わざるを得ないのではないかな、と思ったりもします。
ですが、基本的なところでは「ネガティブよりポジティブな退職理由を用意しておく」ことは、採用面接において必要な「お作法」であり、ぜひ用意しておいた方がよろしいと思います。
なお、こうした採用面接対策や準備に不安をお持ちだったり、苦手意識をお持ちの方は、ぜひ転職エージェントと事前打ち合わせをして、質疑応答についての情報を仕入れたり、回答内容をチェックをしてもらいましょう。
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