産業医になってはや10年以上が経ちますが、私は最初から「産業医になろう」と思っていたわけではありません。そもそもは地元の病院で後期研修をしていたわけで、内科医として勤務医を続けた先に開業を考えていました。
今年の診療報酬改定で阿鼻叫喚の様相を呈しているのを見たり、あるいは経営、院長としてマネジメント業務、医師会と上手くやっていく必要があるというのを聞くにつけ、「ああ、私には到底無理だろうな」と思って、別の道を歩んだことでホッと胸をなでおろしています。
そんな私ですが、振り返ると後期研修医を辞める間際、本当に絶望的な心境になって「これからどうしよう…」と思っていました。
道が急になくなった感覚
後期研修医だった頃は、「これから専門医資格を取得して、準備をしばらくしたら開業だ」などと思っていたわけですが、自他共に「臨床医に向いていない」とまざまざと認識することになりました。
結局、今まで勤めていた病院を辞めることになり、そこで「あれ?これからどうしよう」となったわけで、それは本当に「道が急になくなった」という感覚でした。
そんな自分の置かれている場所、そして方向感覚を失ってしまって途方に暮れて、バイトで食いつなぐという生活をしている中で、産業医の転職活動を行うことになります。
前途多難な転職活動
その頃の転職活動は、ネットで地元の場所を含めたキーワード検索で「産業医 求人」などと調べ、求人を探すというなんとも非効率的なことをやっていました。
結果は惨敗で、「ようやく見つけた!」という求人に応募しようと思っても、「未経験者お断り」ということで面接どころか書類選考にまでも到達できなかったわけです。そこで、リクルートドクターズキャリア[PR]の転職エージェントから電話がかかってきて、事態は好転していくわけです。
なぜその電話がかかってきたかと言いますと、他の病院への転職を考えていた時期、連絡をとったのがその転職エージェントでした。ですが結局は内定辞退し、それからは連絡をとることもなくフェードアウトしていました。
「現在の転職の状況はいかがですか?」と質問され、今までの経緯を説明し、「産業医の転職活動をしているのですが、上手くいきません」と言ったところ、「では、求人をご紹介しますね」とあっさり言われたので思わず「え?求人あるんですか?」と言ってしまいました。
転職はお見合い
たしかに私の地元ではあまり求人がなかったのですが、近県ではいくつか求人があるということで、そこに応募することになりました。また、求人の中には「未経験OK」というところもありますし、私のような経歴でも採用面接を受けるまで至ることができる求人もありました。
当然ながら、それぞれの求人で求めている人材というのは異なるわけで、AでダメだからBもダメとは限らないわけです。「割れ鍋に綴じ蓋」なんて言葉は、本当に言い得て妙だなと思いますが、Aで求められなかった人材を、Bで求めていて採用ということもあり得るわけです。
もし現在、専攻医でドロップアウトして絶望の淵に立たされているという心境の方もいらっしゃるかもしれません。ですが大丈夫ですよ。私のような人間でもなんとかかんとか10年やってこれています。
もし産業医という道に興味があるということでしたら、私同様、チャレンジしてみてはいかがでしょか。ただ、ちゃんとしたガイドがいないと私のようにつまずくこともありますので、リクルートドクターズキャリア[PR]や、医師転職ドットコム[PR]などの転職エージェントに相談はしておいて、求人紹介はしっかりと受けておいた方がよろしいかと思います。