転職活動をする際に、「自分にはこんな特性や適性がある」ということを深掘りする「自己分析」が重要であるとはよく言われていますが、臨床医から産業医になる上で、この自己分析は非常に難しいと思います。
その理由として、自己分析をするには「経験」や「自分と相対比較をする対象」が必要であるからです。この二つが判断材料として揃っていませんと、なかなか「自己分析」すること自体が難しいと思います。
「経験」が必要な理由
初期研修の時に様々な科をローテーションし、「自分は内科に向いているかも」といった気づきを得ることができたりするわけですが、それはある程度の「経験」を通じて考えているわけです。
こうした判断材料となる「経験」で言いますと、産業医の実務を経験する機会はほとんどの方がないでしょう。
認定産業医に資格を持っている方は多くても、嘱託産業医を含め実際に業務を行っておられる方は少ないと思います。その点からして、「経験」をお持ちの方はそういらっしゃらないのではないでしょうか。
比較対象の不在
「自分と相対比較をする対象」とは、言うなれば「産業医が身近な存在としているかどうか」に関わってきます。「産業医は仕事としてはこのようなことをして、1日をこのように過ごしているのか」ということを、その人を通じてイメージできるようなモデル、と言い換えることもできると思います。
そのようなモデルがいれば、イメージしやすいですし、「自分自身と比較」をしたりすることで、「あ、こういう点は自分に向いているかも」と思えるわけです。
そんなモデルとなる人がいるかどうかですが、少なくとも私は産業医になる前、そのような人は周囲にいませんでした。病院で勤務しているということになりますと、企業で働く産業医との接点はほぼ皆無に等しく、「経験」や「自分と相対比較できる対象」がないということになるはずです。
よって、この二つの要素が揃わない以上、「産業医になるかどうか」を考える上で、自己分析するには判断材料が乏しすぎるということになると思います。
「興味」での判断
だからこそ、「産業医は自分に向いているのかどうか」という自己分析的な判断は難しいため、産業医という仕事に「興味が持てるか」というところの部分は重要であると思うわけです。
「認定産業医の単位集めで受けた講義で、興味を持てることがあったか?」というところでの判断もできるでしょう。せっかく50単位の授業を受けるわけですから、しっかりと聞いて「単なるスタンプラリーになっていないかどうか」ということを見極めておきたいところです。
あるいは、「患者を主体にしていた視点から、職場全体の問題に視点を移すことに興味が持てるか?」「最近の労働衛生分野のトピックスについて、最低でも一つ興味を持っていることがあるのか?」ということは自分自身に問いかけてみることは大事であると思います。
以上です。
こうしたことを通じて、「産業医の仕事って面白そうかも」「ちょっとやってみたい」と思えるようでしたら、ぜひ目指してみてはいかがでしょうか。私は認定産業医の資格を取得後、リクルートドクターズキャリア[PR]の転職エージェントにサポートや求人紹介をしてもらい、転職しました。今、転職をお考えということでしたら、まずはご相談からしてみてはいかがでしょうか。