私が後期研修医だった時、「産業医になりたいと思っています」と伝えたところ、両親からは反対されました。
幸か不幸か、両親は医療従事者ではなかったですし、継ぐべきクリニックなどもなかったため、やんわりと「もう少し勤務医をやって、年をとってからでもいいんじゃないの?」「せめて専門医資格をとってからでも遅くはないんじゃない?」といったことを言われただけですが、やはり「反対される」というのは心の重しにはなりました。
また、退職を伝える際に話をした医長からも「今辞めたら、使い物にならない医者になるだけだぞ(意訳)」といったことを言われていましたし、周囲の先輩・同期の医師からも「産業医?なんで?」といった反応だったように思います。
そのことをぼんやりと思い出したこともあり、今回の記事では、産業医に転職する上で「周囲の反対・否定的な意見」とどう向き合うか、ということについて書いてみたいと思います。
産業医になるのは未だに「よく分からない道」
産業医科大学を卒業しているのなら別でしょうけども、その他の大学を卒業した人の中で産業医を本業としている人はまだまだ少ないと思います。実際、同期の中では同じような道を辿っている人はおりません。
もっとユニークな道を進んでいる同期はいますが(笑)それでも産業医を本業としている同期の噂は聞きません。
となりますと、両親にしろ、先輩・同期の医師にそのことを告げたところで、「産業医?なにそれよく分からない」という反応になるのは致し方ないことではないでしょうか。
「まっとうな」勤務医から、その「よく分からないもの」になろうとしている人に向けられる言葉は、やはり否定的なコメントが多いのは無理もないことではないと思います。そのことは認識した上で、話半分に聞いておく、というスタンスは大事かな、と私としては思っております。
転職は「迷う」もの
転職は、やはりやってみないとどう転ぶかは分からないものです。だからこそ、求人選びを行う時、実際に転職活動を行う時、内定が出て実際に入職するかどうか考える時…全ての場面で迷う方がほとんどではないでしょうか。
その中で周囲の反対、あるいは否定的な意見を聞いてしまうと、その迷いは強くなり、心を揺り動かされてしまうのは無理もないと思われます。
ただ、結局のところどうするかを決めるのは自分自身ですし、「迷うのは転職につきもの」「結論を出すまで、もう少し考えてみようか」と、その心の揺れ動きに付き合ってあげる、ぐらいに思っておくことは大事であると思います。
とにかく反対や否定的な意見に過剰に反応しない、動揺しすぎないということを心がけましょう。:
パートナーとはしっかり話し合うべき理由
内定辞退の結構な割合で、「奥さん(パートナー)が反対したから」という理由があります(通称「嫁ブロック」などと言うそうです)。
ですので、パートナーの反対、否定的な意見に関しては、「耳をふさいで、黙殺する」というのは転職する上で、一番やってはいけないことだと思っています。禍根を残しかねないので、押し切ってしまうのはあまり勧められません。
一回だけ「産業医に転職したいと思ってるんだ」と言って理解を示してもらえるとはなかなか思えませんので、時間をかけ、繰り返し説明して納得してもらうことが必要であると思われます。
以上です。
もし私が「産業医に転職をしてみたいと思っているですが…」と相談されたなら、「興味があるなら、ぜひやってみてはいかがでしょうか」と言うと思いますし、また、具体的に求人情報を見てから判断することを勧めると思います。
求人情報については、リクルートドクターズキャリア[PR]や、エムスリーキャリアの転職エージェントに相談することで教えてもらえますので、まずそこから始めてみてはいかがでしょうか。