私は内科系の科で後期研修をしていたわけですが、その時に当直や時間外の呼び出しがきっかけで不眠症状があらわれるようになりました。その後、日常的にイライラしてスタッフや患者さんとトラブルになることもあり、医長から叱られることもありました。
結果、医長との関係もこじれ、最終的には「君は臨床医に向いていないね」と言われ、その言葉が決定打となった形で退職を選ぶことになりました。
もちろん、私に非が大いにあったわけであり、今になって医長の立場で当時のことを振り返れば、「そりゃそんな発言をしてもしょうがないよな」と思います。
後期研修医をドロップアウトした私
後期研修医をドロップアウトしたというのは、さすがに私も落ち込みました。大きな「挫折」を経験したわけであり、自分としても「臨床医はもうできないよな…」と思っていたので、「なんでこんな自分はダメなんだろう…」と自己嫌悪に陥っていました。
当時、「専門医資格をとったら、早々に開業する」ということばかりを考えていたので、それが叶わなくなるという、キャリア上の大問題を抱えることになり、「今後、どうしたら…」と、いわば「キャリア迷子状態」にもなっていました。
一応のところ、「臨床医がダメなら、産業医だ」と、なんとも安直な考えで転職をしようとしていましたが、それも上手くいかないということもあって、「このまま、ドロッポ医としてバイトで食いつなぐ生活かぁ…」と思っていました。
産業医への転職
その後、後期研修医時代に「転職しようと思っているんですが」と相談をしたリクルートドクターズキャリア[PR]の転職エージェントから連絡があり、求人紹介を受けてトントン拍子に内定、入職が決まりました。
そこからも一社目を契約打ち切り=クビになるといったこともあり、順風満帆とは言い難いところですが、なんとか10年近く産業医として勤務できています。3度の転職を経て、ようやく落ち着いて勤務できる場所を探すことができた、というところでしょうか。
転職を繰り返す中で、「産業医も向いてないんじゃないか…」と思うこともありました。ですが、それも痛い経験をする中で学んでいき、ようやく対処法を身につけてきたということだと思います。
産業医の仕事に救われている私
メンタル不調の社員さんたちと話をする中で、「合わない職場」「向いていない仕事」などに直面した人々の話に、共感することがあります。
その話を聞くたびに、「私のことだけじゃなかったんだ」と実はホッとする気持ちになっています。そして、その時に「その気持ち分かります。私にもこんな経験があって…」と話をするわけですが、それを聞いて、特に若手社員の方々も「あ、そうなんですね」と、同様にホッとしている様子を見受けられることがあります。
こうした面談で私が経験を語り、少しでも社員さんたちに「気持ちが楽になった」と感じてもらえれば、今までの私の悩みや苦しみが「決して無駄ではなかった」と感じさせてもらえているような気がしています。
産業医として勤務している中で、社員さんたちに「逆に救ってもらっている」という部分が少なからずあるなぁと思っています。産業医は、「後期研修をドロップアウトした」「産業医に転職したものの、なかなか自分に合った企業と出会うことができなかった」「上司と上手くいかず、辛い思いをした」「合わない仕事がきっかけで、メンタル不調状態に陥った」…といった経験が「活かせる」稀有な仕事ではないでしょうか。
もちろん、「専攻医をドロップアウトした/しそう」というすべての若手医師に勧められるというわけではありませんが、「産業医という仕事に興味がある」ということでしたらぜひ経験しておいて損はないと思っています。
私自身は、3度の転職ですべてリクルートドクターズキャリア[PR]の転職エージェントに相談して、内定をもらっています。もしご興味がありましたら、まずはこの2社にご登録の上、相談されることから始めてみてはいかがでしょうか。