専攻医が産業医に転職する上で不安を感じる3つの理由

私はまだ新専門医制度がスタートする前、後期研修医として研修を行っていましたが、ドロップアウトする形で産業医になっています。

当時、「後期研修医をやめる」こともさることながら、「転職」自体にもそうですが、産業医になることへの不安は非常に大きく、内定がもらえるまでは押し潰されそうになっていました。

さて、その頃を振り返ってみると、大きくわけて3つの不安があったな、と思っています。そこで今回の記事では、「専攻医が産業医に転職する上で不安を感じる3つの理由」と題して書いてみたいと思います。

「未知」のものへの不安

大学・初期研修を通じて、果たしてどのぐらいの人が「産業医」について触れていたり、あるいは興味を持っているか、と考えた場合、本当にごく少数ではないかと思います。

私が「産業医、やってみようかな」と思ったきっかけは、後期研修の時の先輩医師が「産業医に資格は持っておくと将来役に立つかもね」と雑談の時に言っていたのがなんとなく記憶に残っていて、なおかつ「もう臨床医は向いてないし、やりたくないな」と思った時にふと思い出したことです。

こんな出会いや状況がないと、わざわざ「産業医を目指そう」という人もなかなかいないのではないでしょうか。

最近ですと、もしかしたらツイッターなどのSNSを通じて産業医の存在を知ったり、興味を持っている人が増えたかもしれませんね。それでもその数は微々たるものだとは思いますが。

つまりは、産業医が周りにいるわけでもなく、情報も少ないわけです。となると、「産業医って…どんな仕事?」と未知なるものであり、分からないが故に「なるのは不安」となってしまうのだと思います。

ですが、内科医がいきなり「じゃ、これから緊急手術をやってもらう」と言われるようなことは当然ありません(笑)産業医として入職したあとも、周りには他の先輩産業医や保健師などもいるでしょうし、基本的にはマニュアルのようなもの(たとえば休職した社員の復職支援を行うフローなど)があるでしょうから、しばらくやっていけば自然と飲み込めると思います。

「キャリア」についての不安

同期や周りの医師たちを見れば、ほとんどが勤務医として着実にキャリアを積んでいく道を選んでいるのではないでしょうか。そんな中、「私は産業医になる」と、別のキャリアを選択するというのは、それは不安を感じるのも仕方がないのではないでしょうか。

語弊を招く言い方になってしまうかとは思いますが、ある意味、臨床医としての「道を外れる」わけですから、「このままコースアウトしてしまうのでは…」という気持ちになってしまうのもわかります。

ですが、後期研修をドロップアウトし、医長に「君は臨床医に向いていないね」とピシャリと言われるような私ですら、なんとか産業医を続けられています。コースアウトして、「キャリア迷子」になるような自体は避けられています。

そもそも転職や大局など、大きな変化の時には人は不安を感じるものでしょう。ですが、転職活動などを行う内に、最後は「腹を決める」ことができるのだと思います。

「適性」について

転職の相談の時に、結構答えるのが難しい質問として、「私に産業医としての適性はあるでしょうか?」というものがあります。

「いや、あなたのことそんなに知らないし…」という言葉はグッと飲み込みつつ、「認定産業医の資格をまずは取得してみましょう。その時の講座を受けてみて、興味を持てるか、産業医をやってみようと思えるか考えてみてください。そこで全く興味がなくて寝落ちするようだったら、考え直した方がいいかもしれません」と答えるようにしています。

私を含め、産業医の「定時上がり、当直・オンコールなし、時間外の問い合わせや呼び出しなし、長時間かつ時間外のカンファレンスなし」といった良好なQOMLの面で転職を考える人はいると思いますが、産業医という仕事にまるっきり興味がないとキツイとは思います。

ですが、産業医の仕事に興味を持ち、「やってみようかな」とお思いでしたら、転職してみるというのはよろしいのではないでしょうか。現に、私も苦しみやストレスに蝕まれることもなく、楽しく仕事できています。

転職活動の取り掛かりとしては、エムスリーキャリアや、リクルートドクターズキャリアに登録し、転職エージェントに相談することで求人情報を教えてもらえるので、まずはそちらから始めてみてはいかがでしょうか。ドクターは無料で利用できますし、途中で「引き返す」こともできますので安心してお問い合わせしてみてはいかがでしょうか。

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