当サイトに「産業医 楽」という検索ワードで辿り着いてこられる人が結構おられます。以前、
といった記事を書いており、「産業医のQOMLってどうなの?楽なんでしょ」ということに関心を持たれている方が読んでくださっているのかな、と思われます。
そこで今回は、「産業医は楽」だからこそ、特に専攻医が専攻医になるタイミングはよくよく考えた方がいいと思うという理由について書いてみたいと思います。
QOMLが高いからこその罠
産業医と勤務医の働き方の大きな違いとしては、「当直、オンコール、深夜呼び出しはありませんし、時間外の電話も本当に数えるほど」ということが挙げられます。
また、業務内容も「社員さんとの面談」「健診の判定業務」「安全衛生委員会への参加」「職場巡視」などのようなものであり、プレッシャーやストレスを強く感じるような場面というのはほとんどありません。
こうしたことから、QOMLは非常に高いと思われますが、だからこそ「勤務医に戻れない」という問題があります。一度、「当直、オンコール、時間外問い合わせ・呼び出しがない」という生活に慣れきってしまうと、「その生活、働き方から脱して、さぁ勤務医の働き方に戻りなさい」となりますと、非常に難しいということになると思います。
現在、私は週に産業医3日、非常勤外来バイト1日という働き方をしており、これを変えるとなりますと、非常に大変だろうなぁと思っております。
「産業医」になるベストタイミングって?
私の場合、後期研修医時代に「臨床医はもう無理!」という状態になって、半ば産業医になるしかない、他に選択肢があまりないことで産業医の道に入っていきました。
しかしながら、他の大多数の先生方はそのようなことはないのではないでしょうか。順調に専門医資格を取得し、ある程度経験を積んでいって…果たしてその先に産業医になるタイミングがあるのかというと疑問です。
せっかく積み上げてきたキャリアを一度脇に置いて産業医になる、ということを考えると、やはり「臨床医であることへの未練がどの程度か」という消極的な理由に加え、「産業医をやりたい」という積極的な理由との兼ね合いになってくるのかと思われます。
実際、「臨床医としてはもう燃え尽きた、今後は産業医になる」というドクターの方は結構多いのではないかな、という印象です。また、「ドクター夫婦で、妊娠・出産を機に産業医に」というママさんドクターも結構おられます。
少なくとも、上記の「QOMLが高いからこその罠」があり、臨床医に戻るのはそれなりに大変だというのは念頭に置いておいた方がよろしいのではないでしょうか。
ある程度の臨床経験はあった方がいい
私が産業医になったタイミングで言いますと、後期研修がある程度進み、内科医として「ある程度は、外来診療も一人でできて困らないレベル」にはなっていおり、それが今となってはよかったなぁと思っております。
というのも、産業医の傍ら、内科外来のバイトも行っており、万が一産業医をクビ(契約延長なし)になったとしても、しばらくは食うに困らないという状態にできているということが挙げられます。
上記のような、「専門医資格をとって、臨床経験を積んでいる…からこそ産業医になるタイミングを失う」という一方、「あまりに早すぎるタイミング(初期研修修了直後など)で産業医になる」のはあまりおすすめできない、ということが言えると思います。
早すぎるのもバイトの幅が狭まって損をしますし、内視鏡など「バイトで活きるスキル・資格」はあった方がいいと思います。かといって、50代以降で産業医になるのも、これまた結構難しかったりします。だからこそ、「転職するタイミング」は考えた方がいいわけです。
以上です。
上記の三点を踏まえた上で「産業医になる」ことをご検討いただいてはいかがでしょうか。そこでもし実際に転職活動を始めようということでしたら、まずはリクルートドクターズキャリア[PR]や、エムスリーキャリアの転職エージェントに相談して実際の求人情報を教えてもらい、そこから考えてみるというのも手だと思います。