民間病院の医長・部長/科長といった役職がついた医師を「管理職」とすると、私が臨床医を続けていたとしますと、恐らくそうした管理職にはなれなかったのではないかな、と思います。
きっと病院を転々とした末、さらには確実に「もう常勤の医師はいいや」となって、ドロッポ医生活を送っていたんじゃないかな、と思います。となりますと、役職がつくはずもなく、「管理職になれない医師」人生を送っていたのではないでしょうか。
では、そうした管理職ではない医師を続けた場合、どのようなメリットとデメリットがあるのか、その点について今回は書いてみたいと思います。
メリット1:「医業」以外の煩わしい業務を担わずに済む
管理職となると、マネジメント業務もあれば、病院の会議への出席をせざるを得ないでしょう。他にもリクルートメント、採用、果ては部下たちのトラブルの尻ぬぐいまでさせられる可能性があります。
いわゆる「医業」以外の業務もあるわけで、管理職ともなるとそうした業務を担う必要があるのではないでしょうか。この点、管理職でなければ、外来や病棟での業務のみを行っていれば文句もないというメリットはあると思います。
メリット2:意思決定を上席に委ねられる
診療を行う上で、判断が難しい局面というものは出てくると思います。そんな時、上席にしっかりと報告・連絡・相談を行っていればの話ですが、意思決定を上席に委ねることができます。
逆に言えば、「自分で決定できる範囲が狭い=裁量権が限定的」とも言えますが、上席にその決定をしてもらい、自分は従うということができるのは、実は責任を全て背負い込む必要がないことを意味しており、メリットとも考えられるのではないか、と私としては思います。
デメリット1:年収格差
30代の内はあまり年収格差はありませんが、これが40代後半、50代と段々年を重ねた場合、着実に出世していった医師と、万年平の医師で言いますと、かなりの格差があります。
もちろん、役職なしであっても、経験年数によって年収はアップしていく傾向にありますが、部長・科長クラス、副院長クラスともなると、やはり格段に年収としてはアップします。
私のバイト先であります「地方の民間病院」であっても、副院長であれば2500万円程度をもらっているそうですので、やはり役職付きの医師とそうでない医師は、年齢を重ねた段階ではかなりの年収格差があるのだと思います。
デメリット2:年下上司の出現
産業医として会社員の方々と面談をしていますと、やはり「年下上司」の言葉にカチンとくるという方は多いです。いくら割り切っていると言っても、そこはやはり心のどこかでは一物を持っているようです。
管理職ではない医師を長年続けていればいるほど、やはり年下上司というのは出てくるはずで、その点を受容できるかどうかというのはとても大きいと思います。
以上です。
この点、産業医一人体制の企業で産業医をしていますと、管理職としての責任もなければ、平の医師としてのデメリットもなく、私にとっては居心地のいい職場だな、と思っています。もし同様に、産業医を「次のキャリア」としてみようかとお思いでしたら、リクルートドクターズキャリア[PR]や、マイナビDOCTOR[PR]の転職エージェントにまずはご相談いただいて求人を紹介してもらってはいかがでしょうか。