「夜勤前に仮眠を」と考えて睡眠導入剤を内服したがために薬物使用が疑われてしまった社員【産業医マニュアル】

管理職の方から、「部下が薬物を使用していると噂になっている」と相談を受けました。何やら物騒な話だな、と思って聞いていたところ、どうやら「夜勤の際、意識朦朧としていて目つきが怪しかった」「手元が狂っており、タイムカードを差し込むことに手間取っていた」などなど。

こうした状態を夜勤のたびに目撃されており、「薬物を使用しているのではないか」と噂になってしまっているとのことです。というわけで、この上司の相談を受けて本人と面談を実施することになりました。

面談に来られたのは、40代前半の男性です。よくよく話を聞いてみると、「実は夜勤の時、仮眠をとってから出勤したいのですが、なかなか寝付きがよくなくて…」とのこと。そこで、息子さんが処方してもらっているという睡眠導入剤をもらって、夜勤の時に使用していたそうです。

「意識朦朧としている」との目撃情報があったのが1ヶ月ほど前。「ちょうどその頃から飲み始めました」とのことで、時期的にも合います。日常的に不眠症状があるわけではなく、夜勤の時のみに使用していたそうです。

そこで、

・そもそも家族とは言え、本人以外がその薬を内服するのは望ましくない。睡眠導入剤が必要であれば、やはりご自身で心療内科などを受診して処方してもらうべき。

・ブロチゾラムが処方されていましたが、仮眠には不向きで、なおかつ寝付きのみをよくしたいとのことでしたので、超短時間型のゾルピデムなどを処方してもらうよう受診時にご相談いただくことを提案。

・少なくとも、現在使用していた睡眠導入剤はやめていただくよう指示。

といったことをお話させていただきました。少なくとも、上司や職場での「薬物使用疑惑」は晴れ、夜勤を今もお続けいただけております。

タイトルとURLをコピーしました