産業医についてネット上では、「役立たず」「クズ」などといった関連キーワードで検索されているようです。また、中には「会社とグル」などといったものまでありました。
産業医をしている身としては、とても悲しい言葉の数々ですが、実際のところ、「産業医に相談したところで何も変わらない」「上司に言われたから来ましたけど、何も期待してませんから」と(言葉は選んでますけど)言われる社員さんもおられます。
産業医に対して、なぜこうした悪感情が抱かれるのか、そしてその対策について今回は考えてみました。
役立たず=面談以外のアクションを起こしていない
まず、「役立たず」についてですが、これはおそらく面談以外のアクションを起こしていない、人事労務担当者や現場の上司との情報共有や相談が行われていないことを示しているかのように思われます。
面談をして「ふむ、ふむ」と話を聞く。聞くだけ聞いて、「はい、終わり」…なんてことですと、やはり社員としては「今までの時間、なんだったの?」「話だけ聞いて、何の意味があるのよ?」とやはり思ってしまいますね。
面談で聴取した内容を踏まえて、たとえば上司や人事に情報を共有して、どのような対応をとるべきか考える、そういったアクションを見せませんと、やはり「産業医は役立ずだ」と思われてしまうのではないか、と思います。
なお、「役立たず」と思われないために注意すべきポイントと改善案を
にまとめております。ご参考にしていただけますと幸いです。
クズ、嫌い=説教じみた面談になっている
産業医の面談をしていますと、時折「それはあなたが悪いんじゃないの?」といった方に出会うこともあり、そこでついつい説教じみたことを話してしまいたくなる気持ちもわかります。
ですが、そこで説教してしまったりすると、社員は「なんだ、こっちの味方じゃないのかよ」「アンタに、俺の大変さが分かるのかよ」と反発されてしまいます。やはり面談では傾聴の姿勢であるべきであると思われ、そうした指導・指摘については、タイミングなどを見計らう必要があると思われます。
たとえば、初回でいきなり説教を行うよりは、2~3回面談を行った後、「お気持ちとしては分かります。でも一回、上司の立場になって考えてみませんか…どう思います?」と話を切り出すといったことであれば、少し捉え方も違うのではないか、と思います。
うざい=漫然と面談を繰り返し、面談の意義が実感できない
社員も貴重な時間を使って面談に来ているわけであり、「この面談、なんの意味があるの?」と思っているところで「じゃあ、次の面談は…」と繰り返し予定を入れられたら、「うわ、うざいなぁ…」と思われるかもしれません。
たとえば次の面談予定を入れる際にも、「まだ復帰したばかりで体調も不安定な可能性があります。1ヶ月後、どのような状態だったか面談で教えていただけますか?」「次回、主治医を受診した際に、検査結果と今後の治療方針の説明がありますね。次回面談では、その結果や説明を元に就業制限について再検討していきましょう」など、「なぜ次回の面談が必要なのか」ということを説明することは必要だと思います。
また、上記のように、まだ関係性もできていない内から、面談や保健指導でお説教モードになると、「うざいなぁ。そんなこと分かってるよ」と思われて、「うわ、うざいな」と思われてしまう可能性があるため、注意が必要ですね。
会社とグル=社員に寄り添うことができていない
会社とグル、と思われてしまっているということは、本来中立的な立場で医学的な判断ができていない可能性があります。その点はやはり、「できる限り中立に」と思っておく必要があるでしょうね。
また、上記のにも関わってきますが、やはり上から目線になっていないか、説教じみたことを言ってしまっていないかといったことを見直す必要があると思います。
以上です。
私自身、やはり気を付けるべきところが多いな、と思った次第です。面談で、言い合いになったしまうことを避ける上でも、上記の点を留意すべきですね。
なお、産業医として「信用できない」「話してもムダ」と思われてしまうケースもあり、その原因と対処法を
にまとめておりますので、ご参考にしていただけますと幸いです。