産業医として、メンタル不調の状態にある社員さんと面談をして相談を受けることは多いわけですが、やはり多いのが人間関係にまつわる悩みです。
「上司と反りが合わない」「顧客から受けるストレスに参ってしまっている」「サポート体制がなく、同僚と仕事を押し付け合っている状況に疲れてしまった」などなど、様々な話を聞きますので、人間関係で働きやすさは大幅に変わるなぁ、と改めて実感します。
ただ、この人間関係は、常に一定というわけではなく、流動的です。私が後期研修で働いていた病院を辞めてしまった理由として、「今までいた中堅クラスの先輩たちがごっそりといなくなってしまったから」という部分は大きいかと思います。
職場の「人間関係の変化」による影響
それまでは先輩たちがいたため、業務負担もさほど重くはなく、そしてなにかあればすぐに相談をする、ということができていました。非常に面倒見がよく、私が困っていると、まだ質問をしていないのに相談に乗ってくれるような先輩もいました。
ですが、そうした先輩たちが次々と辞めていき、結果的に私が残り、しかも一緒に働いていた同期までいなくなってしまいました。上が「医長」という状態になってしまい、今までの体制と大幅に変わりました。
業務負荷も高くなり、さらには今まで頼れた先輩もいません。ちょっと苦手意識のある医長と上手く関係性を築くことも難しく、叱責を受けることも増えていきました。結果、一気に「働きづらい」職場に変わってしまったわけです。
転職に至るまでの心の動き
今では、産業医として「一度、上司と腹を割って話し合ってみましょう」「自分がどのようなことを仕事で悩んでいるのか、上司は分かっていません。そのことを含め、しっかりと相談してみましょう」などと偉そうにアドバイスしているわけですが、当時の私にはそれができませんでした。
結果、「上司を避ける」という最悪の選択をしてしまい、報告・連絡・相談がしっかりできず、ますます医長との関係悪化をもたらしてしまいました。
きっと、先輩ドクターたちがいたため、なんとかこんな私でも働けていたところ、その先輩がいなくなってしまって、困難な状況に陥ってしまった、ということなのだと思います。
私の後悔
こうしたストレスフルで困難な状況ですと、物事を短絡的にしか見れなくなり、そして近視眼的な思考になってしまいます。
それからというものの、私は「もうしんどい…とりあえず辞めよう」「辞めてから転職すればいいじゃん」「もう臨床医はいいや。産業医ってもんになってみよう」などと思い、我ながら本当に「もうちょっと将来のことを考えようよ」と言いたくなる身の振り方をしてしまいます。
最悪なことに、「次の転職先が見つからない」状態で突発的に病院を辞めてしまいました。それからというものの、ほぼ引きこもり状態で「たまにバイトをしてしのぐ」ような生活でした。
「コップの水が溢れる」その前に
転職が頭にちらついている時、不満やストレスは日々、溜まっていきます。まるでコップに水滴が落ちていくような状況であり、いつしかその水はいっぱいになり、溢れ出します。そうして突発的に辞める、あるいは転職するというのは、あまりおすすめできません。
もちろん、転職は100%上手くいくとは限りませんが、転職の目的や希望条件をはっきりさせ、しっかりと情報収集を行った上で行ったほうが確実に成功確率は高まると思います。だからこそ、転職を考え始めたら、そこでしっかりと「動き出す」ことが必要です。
私の場合、リクルートドクターズキャリア[PR]に相談したところ、すんなり産業医へ転職できたという経験もあり、やはりキャリアエージェントに相談し、適切なアドバイスをもらうことはとても大切なことだと思っています。
もし、転職を考え始めている、ということでしたら、もちろん実際に転職するかしないかは別として、コップの水が溢れ出さない内に、徐々にですがしっかりと「転職の準備」を進めておいて損はないと思います。まずは希望に沿った求人として、どの程度のものがあるのかなど、問い合わせをしてみてはいかがでしょうか。

