私自身、「臨床医として働く」ということを希望していたわけではありませんが、大学卒業後に初期研修医となり、その研修先で後期研修医として働いていました。
「いつか勤務医として働くことも、苦ではなくなってくるのでは」という期待であったり、あるいは「専門医資格を取得したら開業する」ということを目標に勤務していたわけですが、ラクになるどころか「働きたくない」という気持ちが次第に大きくなっていきました。
結局のところ、「勤務医/臨床医として働きたくない」という気持ちは変わることがなく、コップに溜まったいく水がいつしかあふれるように、ストレスが溢れてしまい、退職することを選びました。
「臨床以外」を選択することの難しさ
同様の悩みを持ち、苦しみを感じているという方もおられるのではないでしょうか。そもそも「勤務医/臨床医として働きたくない」というのなら、「臨床の道を最初から選ばなければいいんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、最初からそのような選択をできるかというと、難しいのではないかと思います。
私もそうですが、大多数が初期研修→専攻医になるという進路をとる中、一人だけ「よくわからない」「イメージも湧かない」別の道を模索するというのはなかなかできることじゃありません。
となりますと、「まずは後期研修をしてみようか」「専門医資格を取得したら次の進路を考えようかな」と先送りにするという選択肢をどうしてもとってしまうのではないでしょうか。
「お試し」の重要性
私の場合は、「これ以上、後期研修を続けられない」ということで辞め、それから「臨床以外の次の進路」を考えました。最初から「産業医になろう」とは考えてはおらず、先輩の「産業医資格はとっておくと将来的に良いよ」という一言で思いついた、というのが正直なところです。
それから産業医になり、紆余曲折あって3社目の現在、ようやく「産業医が本業」となっているような状況です。結果論とはなってしまいますが、私の場合はこのようなキャリアも「ありかな」と思っている次第です。
また、もう一つ言えることは「後期研修医になる」という選択をしたことも、誤りではなかったと思います。そこでの経験も少なからず現在に活きていますし、「臨床医は合わない」という結論が自分の中で出たことも良かったと思っています。
「産業医」という選択について
結論としては、繰り返しになりますが「勤務医/臨床医として働きたくない」からといって、最初から「じゃあ、臨床以外の道を」という選択をとるのはやはり難しいです。そもそも臨床以外にどのような道があるのか、他の道へ進んだ時のキャリアパス/将来はどうなるのかといった情報が少ない中、大多数の進路から外れることはとても勇気が要ることだからです。
なので、「まずは専攻医になってみる」という選択は決して悪くはないですし、むしろそこで「やってみたけどダメだった」という経験をすることは決して無駄にはなりません。また、もしかしたら「意外と楽しく働けるじゃないか」と分かる可能性もあるはずです。
産業医になることも、その人の「適性」や「企業との相性」という部分が大きく、やはり「やってみないと分からない」という部分があります。だからこそ、「勤務医/臨床医として働きたくない」という悩みに対して、「産業医になる」ことが万人向けの処方箋とはなり得ないとは思いますが、私同様に「臨床医が向いてない人もハマる時はハマる」という次なる選択肢の一つにはなるのかな、とは思っています。
もし現在、「勤務医/臨床医として働きたくない」という悩みから「次は臨床以外の道を進んでみたい」ということでしたら、産業医の道もお考えいただいてはいかがでしょうか。リクルートドクターズキャリア[PR]の転職エージェントにコンタクトをとっていただければ、キャリア相談だけではく、求人紹介もしていただけますので、まずは相談から始めてみてはいかがでしょうか。