産業医になろうかと考えている方の中で、「でも、将来性はどうなんでしょうか?産業医として働いて稼いでいくことはできるのでしょうか?」と不安に思われる方がおられます。
現に、経済界を中心に「産業医不要論」を唱える人も中にはいて、「少なくとも、産業医を雇う義務がなくなる」という可能性はゼロではないと思います。また、働き口は勤務医に比べて少ないこともあり、「産業医として働けなくなったらと考えると、その時が不安です」ということが大きな理由のようです。
ですが、転職を悩む、あるいは「将来が不安」と躊躇っているという方に相談を持ちかけられたとして、私だったらどう答えるか。そのことについて今回は書いてみたいと思います。
「臨床医」は不安のない仕事か
そもそも、臨床医の先生方を取り巻く環境も大きく変わりつつあります。最近で言えば勤務医にとって「医師の働き方改革」は大きなトピックスではないでしょうか。当直のあり方、残業/自己研鑽の問題など、勤務医の先生方にとっては不満を感じる部分も多いのではないでしょうか。
さらに、今後は「2040年問題」も到来すると言われています。医療費の増大、そしてそれを支える現役世代の人口減少。財政が逼迫すれば、医療費に改革のメスが入ることは避けられないでしょう。それに加えて都市部を中心とした「医師過剰時代」がやってくると言われています。
勤務医にとって、冬の時代となる可能性がやってきてしまう可能性は以前から指摘されています。一方、開業医の先生方も決して盤石とは言えず、保険診療点数に生殺与奪を握られていて、今後のクリニックの経営にとって不安要素となっている部分ではないでしょうか。
「先の見えない」将来だからこそ
もちろん、逆に「産業医の将来はどうなんだよ?」と言われたら、不安要素はあります。上記のように、産業医の選任義務などがなくなる可能性もあるでしょうし、そもそも産業医のほとんどは常勤産業医であろうが「嘱託契約」であり、1年ごとの更新を乗り越えて勤務していく状況です。
「痛み分け」というつもりもなく、むしろ産業医のほうが「たしかに将来性は不安だよな」と思う部分は多いです。「何が結局言いたいの?」と思われるかもしれませんが、私としては「そもそもどんな仕事であろうが、失う可能性のない盤石なものなどないですよ」と思っているわけです。
さらに言えば、将来は「先の見えない」ものであり、最近はさらに予想・予測が当たりづらい状況にあると思います。では、そうした時代にどのように「キャリア形成」を考えていけばいいのでしょうか?
「将来性」より大切なこと
あくまで私見ですが、「将来性うんぬんより、やりたいことをやった方がいいんじゃないか」と思っています。そもそも「やってみたい」「面白そう」という部分がない仕事は長続きしません。
私の勤務する企業の仕事は、どうやら他業種からすると「簡単そう」と思うようです。ただ、「今やってる仕事も近い業種だし、転職したら楽になるかも」と思って入職する方が結構いるのですが、そうした社員さんは「思ってたより楽じゃなかった」と辞めていきます。
結局のところ、ただ「簡単そう」「楽そう」と思って飛び込んでいくと、痛い目を見ます。だからこそ、「将来性がありそうだから」「楽そうだから」とだけ思ってやる仕事よりは、「やってみたい」「面白そう」といった好奇心を感じる仕事を選ぶほうが私としては満足度が高く、長続きするのではないか、と思います。
産業医という仕事に興味がある、やってみたいと思っておられるのでしたら、ぜひやってみてはどうかと私としては思います。リクルートドクターズキャリア[PR]に相談してみれば、求人紹介をしてもらえます。そうした求人を見てから判断をしてみるのもいかがでしょうか。