最初から「産業医になろう」と思って医学部に入学した人は別ですが、勤務医を経て「産業医になろうかな」と思うといった場合、大半の人が悩んだ末にその選択をするのだと思います。
実際、私は後期研修医の時に自ら「臨床医に向かない」と思っていましたし、医長からも「君は臨床医に向かないな。別の道を選んだ方がいいと思う」と告げられました。自他ともに認める、「臨床医に向かない」という私ですら、産業医になる時には大きな決断を要しました。
そこで、これから「産業医になろうかどうか」と悩んでおられる、特に専攻医など臨床医のキャリアを積む途中のドクターが、どのようなことを考えて判断材料としたらいいのか、ということについて今回は書いてみたいと思います。
研修会・講習会の利用
産業医になるには要件があり、最も現実的で多いのが「日本医師会認定産業医(認定産業医)」の資格を取得することです。この認定産業医になるには、講習会・研修会に出席することによる50単位を集めることが必要になります。
この講習会・研修会を受講してみて、産業医という仕事に興味を持てるかどうかということがまず一つ目のチェックポイントとなります。
「QOMLが良いから産業医に転職したい」という方も中にはいるとは思いますが、興味がもてないのに転職するなんてことは、仕事をする上で苦痛でしかないため、やはり産業医になるのは避けるべきではないかと思います。
求人票を見てみましょう
二つ目のチェックポイントとしては、求人票を実際に見てみるということです。求人票とは、年収の幅や勤務日数・時間・勤務地、求められるスキルや業務内容などが記載されたものです。
転職をしっかり決意してから求人票を見る、という方もおられるでしょうが、「転職しようかな、どうしようかな」と悩んでいる段階で求人票を見るべきだと私としては思います。
そもそも私は、最初の転職を考えた際、産業医の仕事も具体的によく分からない、イメージもつかない状態で「転職、どうしようかなぁ…」と悩んでいました。
産業医の具体的な業務内容は求人票からはっきりとイメージするのは難しいかもしれませんが、「あ、こんな内容の仕事を頼みたいわけね」「あ、年収はこれぐらいなのね」「勤務は週4日か。1日バイト入れられるな」なんてことが分かって、ぼんやりとイメージを形作ることはできるのではないでしょうか。
この求人票を見る、ということは結構大きな判断材料になると思います。ですので、多くの求人を取り扱う リクルートドクターズキャリア[PR]の転職エージェントに相談し、求人紹介を受けてから本格的な転職を検討するということでもよろしいのではないかと思います。
家族など近しい人に話してみる
三つ目のチェックポイントとしては、「家族やパートナーなどの近しい人に転職の話をしてみる」ということです。
自分の中だけで転職のことを考えていますと、考えがまとまらないということもあったりします。その点、誰かに話をしていると、「なぜ転職したいと考えているのか」「どのような目的で転職をしようと考えているのか」「転職するとしたら、どのような条件で転職したいのか」といったことが自然とまとまってくるものです。
そもそも「産業医になぜなりたいのか」「産業医になって何をしたいのか」といったことを家族など近しい人に説明できないようでしたら、採用面接でも熱意をもって話すことはできないと思います。その予行演習だと思って、ぜひ話をしてみましょう。
また、この話をすることのメリットとしては、転職活動の初期の段階で話をしておくことで、転職の話がまとまろうとしている段階で「え?転職の話なんか聞いてないよ」と反発や反対をされることを防ぐことができます。もちろん、初期の段階からも反対される可能性はありますが、時間をかけて説明して理解を得ることはしやすいのだと思います。
なお、家族もいない、パートナーもいないということでしたら(私も妻に出会ってなかったら、そんな状態だったと思います)、 リクルートドクターズキャリア[PR]など転職エージェントに話を聞いてもらうのもありだと思います。
「こうした希望があり、産業医への転職をしたいと思っているのですが、迷っている段階です」と相談しつつ伝えるだけでも、自分がどのような希望を持っているのか、転職の動機はどういったところにあるのかといったことはまとめられると思います。