私の産業医としてのキャリアは、「諦める」ことから始まりました

自分自身の特性を考えると、「勤務医としての勤務を続けることが難しい」というのは嫌というほど分かります。

具体的に挙げていきますと、非常に悲しくなるのですが、謙遜でもなんでもないとお分かりいただく上では必要なことだと思いますので、以下に列挙します。

・長時間の勤務に耐えられる体力も気力もない。
・時間外の問い合わせや呼び出しでプライベートが侵害されることに強いストレスを感じてしまう。
・当直中はいつ呼び出されるか、と考えてしまい、一睡もできない。そもそも救急対応が大の苦手。
・複雑な病院内の複雑な人間関係に適応できない。
・時折ある患者さんやご家族からの嫌味やクレームに凹んでしまう。

などです。まだまだありますが、おおよそこんなものです。こうした特性を踏まえ、「臨床医は無理だ」という諦めから産業医としてのキャリアは始まっています。

「認める」ことの難しさ

もちろん、私も最初からそのことを飲み込めたかと言いますと、そんなことはありません。曲がりなりにも後期研修医として勤務していたわけで、「専門医資格を取得したら、早めに開業医としてやっていこう」といったことも考えていました。

また、「できない、向いていない」ということで言いますと、やはり非常にプライドを刺激することであったりします。だからこそ、「臨床医として向いていない」ということを認めるのは大変です。それまで思い描いていたキャリアプラン、ひいては「医師としての自分」が打ち砕かれることに等しいということで、なかなか認めることはできませんでした。

40代になると、ある程度は素直にできるようになってきたなぁと思いますが、まだ30歳になりたての頃ですと、「できない自分」を認めるのには時間がかかりました。

「認めざるを得ない」経験の重要性

ですが、「やってみて、できない。上手くいかない」となりますと、話は変わってきます。強いストレスを感じつつ勤務医を続け、さらには周囲の評判もよろしくなく、ついには上司である医長に「君は臨床医に向いていないね」と言われる始末です。この時点で「臨床を諦める」ことは決定的になりました。

ですが、今思いますと、「諦める」ことができてよかったとも思います。というのも、「向かない、合わない」と思いつつ臨床医を続けていたらストレスを溜め続けていずれ爆発させてしまうか、もしくは心身に変調をきたしていた可能性もあると思います。

また、「諦める」ことができていなかったら、産業医という仕事の楽しさを経験できずにいたわけです。現状に固執してしまいますと、別のことにチャレンジできないというデメリットもあります。

「諦める」は第一歩

キャリア選択、特に臨床医から産業医になるといった、「リスタート」をする上では、自分の特性を把握・理解した上で、「諦める」という第一歩だと思います。

「諦める」からこそ、別の「向いている仕事を探す」というきっかけになるわけで、そうでないとやはり、今の仕事、たとえそれが向いてなくてもその仕事に、なんだかんだ文句を言いつつこだわり続けてしまうのだと思います。

チャレンジしてみることは重要なことですが、「向いてない」と思うようだったら、別の仕事に目を向けてみることも大切だと思います。

以上です。
ただ、転職活動をするにしても、一人でやろうとするとなかなか上手くいかないことも多いです。現に、私は一人でやろうとして非常に遠回りしてしまいました。結局、私はリクルートドクターズキャリア[PR]の転職エージェントにサポートしてもらうことで、ようやく転職することができました。無理して一人でやろうとせず、相談をすることもまた大事なことであったりします。

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