産業医未経験の医師が転職するなら「複数の産業医が在籍する」企業を選ぶべき3つの理由

産業医未経験のドクターから、「どのような企業を選ぶべきでしょうか?」という質問をいただくこともあります。この質問は、やはり個々人でその企業に合う・合わないがあるので答えるのが難しい問題ですが、一つだけ言えることがあると思っています。

それは、「複数の産業医が所属している企業を選択すべき」ということであると私は思います。

そもそも「未経験でも可」という企業の場合、研修体制が整っていたり、指導できる先輩産業医がいたりと、基本的には複数の産業医が所属しているケースが多いと思います。入職しやすいという理由もありますが、私としては以下のような理由があると思っています。

「経験を積む」だけではダメな理由

「経験を積む」ことは大事なことです。ただ、「経験しただけ」ではやはり、独り立ちにも時間がかかってしまいますし、あまり良質な成長の糧とはなりません。経験を積んだ上で、自分の経験を振り返り、他の医師のやり方と比較する(内省的観察)といったことを行うことが必要になります。

一人でも内省的観察はできるかもしれませんが、やはり「他人のふり見て我がふり直せ」もしくは「先輩産業医のことを真似る」ということできるのは非常に大きいです。

場合によっては、先輩・上司となる産業医から厳しい指摘を受けることもあるでしょう。こうしたことを通じて「次に同じようなことがあった場合は同じ轍を踏まない」「次はこのようにすれば上手くいくはず」といった「学びを得る」という機会も必要になります。もちろん、分からないことを文献に当たって調べることもまた、必要な学びの機会となります。

やはり自分一人ですと「分からないことも放置してしまう」「ついつい後回しにしてしまう」という傾向にあります。調べたこと、学びを「他の産業医と共有する」ということもできる点も、複数の産業医が所属している企業のメリットとなります。

もちろん、こうした学びを得て、さらに「仮説を次の仕事で実践して、検証してみる」ということを繰り返すことも重要です。このような一連のサイクルを繰り返していく上では、やはり先述のように他の産業医の存在が必要であると思われます。

意外と厄介な「医師」という立場

私は他に産業医が所属していない企業に「一社目」として入職することになりました。それは、やや辺鄙な場所にあるので入職希望者が少なかったことや、ベテラン保健師が在籍していて「アドバイスできる」と考えられていたからだと思われます。

ですが、結局のところいくらベテラン保健師でもあれこれと産業医に「指導する」ことは躊躇われたのでしょうし、私もコミュニケーションが不得手で積極的に「教えてもらう」ということができませんでした。

また、経験不足であるがゆえ、「関係各所へのフィードバックが不十分」「フィードバックの内容が独善的で、効果的ではない」「関係各所へのすり合わせが不十分で、現場が混乱・困惑している」ということが起きてしまっていましたが、なかなか人事の担当者などは指摘してくれませんでした。

これはやはり、「医師」という立場があったからであると思います。やはり同じライン上の社員であれば指摘できても、医師となるとなかなかしづらいものがあったのかもしれません。この点、やはり「同じ産業医であれば指摘しやすい」ということもあると思われます。

「知識・経験不足」だからこそ

企業側が産業医に「相談」を行う場合、産業医一人体制の企業ですと、その相談から「逃れる」ことができません。自分なりの答えを用意し、企業側へと提案・回答する必要があるわけです。

一方、複数の産業医がいる場合、産業医同士で相談し、その意見をすり合わせて企業側へと提案を行うことができます。つまりは、「責任を分散」させることができるわけです。

これは特に、知識や経験不足だからこそメリットが大きい部分です。一人で全て背負わなくていいというわけであり、未経験~産業医ビギナーである時期には、やはり複数の産業医がいるメリットは大きくなると思われます。

以上です。
また、産業医未経験で転職活動に悩んでおられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。実際、私も上手くいかず、一人で数ヶ月も転職活動が上手くいかずに困っていました。そんな時にアドバイスや求人紹介をしてくれたのが、リクルートドクターズキャリア[PR]の転職エージェントでした。もし今、産業医への転職活動がいかないということでしたら、まずはご相談いただいてはいかがでしょうか。

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