産業医になって思う、スポットバイト中心のドロッポ医生活では「やりがいを感じにくい」3つの理由

凄腕のフリーランス医と対比して語られることも多い「ドロッポ医」ですが、ここでは常勤勤務医からドロップアウトして、非常勤・スポットバイトなど、あまりスキルを要さない仕事で食いつないでいく医師のことであると定義します。

私は後期研修医をドロップアウトして、まさしくドロッポ医生活を数ヶ月続けたわけですが、最初はまさしく「自由を謳歌」してたわけですが、その内に虚しさや「いつまでこういう生活なんだろうか…」とイヤになってしまったことを覚えています。

もちろん、適正があって続けられる人もいるでしょうが、根っからの心配性で不安定さに耐えられなかったこともあり、私は早々にギブアップしています。

ドロッポ医の中には、決まった非常勤の勤務先を複数持ってやりくりされている方もいらっしゃり(それはもはや、外来や当直メインの常勤と働き方は変わらないんじゃないか…と思いますが)、それとは異なって「スポットバイト中心」のドロッポ医では、あまりやりがいを感じにくいという理由があると思っています。

そこで今回は、なぜドロッポ医生活では仕事にやりがいを感じにくいのか、ということについて書いてみたいと思います。

「人間関係」の中で働く私たち

医療従事者は「仕事は一人でやるもんじゃないよ。チームで行うんだ」ということで、チーム医療の大切さを説かれますし、実際にチーム医療は尊重すべきであるということに私自身、異論はありません。

そんな人間関係の中で、時にはぶつかり合い、そして時には仕事をともにして喜びや辛さを分かち合い…ということを顔見知りになり、お互いを知るようになった中で行うことで、ようやく「仕事をしているな」と実感できるのではないでしょうか。

毎回「はじめまして」となり、そして「はい、さようなら」となってその後、もう会わなくなる関係性の中で働くとしたらどうでしょうか?希薄すぎる人間関係の中で、やはりやりがいは感じにくいのではないかと思います。

私としては、お互い「あの人にお世話になったから、こっちもお返しに何かしてあげよう」というような関係性が築けるのが理想かな、と思っています。

仕事を選ぶ基準

私がドロッポ医時代にバイトを選んでいた基準としては、「近い場所」「時給」「業務が複雑ではなく楽」といったことでした。「日銭を稼ぐ」ということですから、自ずとそうなっていったように思います。

ただ、そうしたことばかりにフォーカスを当てて仕事を選び、働いていますと、やはりどこかで「これは望んだ仕事でない…」「なんでこんなことをやってるんだろう?」ということを考え始めてしまいます。

その辺を割り切って、「お金のためだ!」という形で仕事に励まばいいんでしょうけど、なかなかそうも行かないものです…

こうした「望んだ仕事ではない」「お金のため」という思いが根底にありながら働いていますと、やはりやりがいは感じにくいのではないでしょうか。

自由を謳歌できない私たち

ドロッポ医であれば、経済的な制約を受けて「働かざるをえない」ようなことを除き、「しばらく働かない」ということもできます。その辺、「週2日働いて、あとは気ままに過ごす」なんてことも十分できるわけです。

ですが、FIREした人が「自由な生活に飽きた」と言って仕事をまた始めるように、自由な状態にも飽きがくるものです。昼間からビールを飲み、ゲームやNetflixで海外ドラマ三昧…なんて生活も、2週間もせず飽きてしまうのではないでしょうか。

「働きがい」のこととは少し違うかもしれませんが、「生活に満足できない」という不満もまたドロッポ医生活では感じてしまうことも問題であると思っています。

私としては、よほど「ドロッポ医の適性」があってその生活を長らく続けられる人でない限り、ドロッポ医になることはオススメできません(そもそも私同様、やむにやまれぬ事情があってドロッポ医になる人がほとんどでしょうけど)。

ですので、私としてはやはりドロッポ医を脱却して、「無理なく続けられる勤務条件で働く」ことが最適なのではないか、と思っています。

産業医になることだけではなく、勤務医として「当直・オンコールなし」といった条件で働くこともできますし、「病棟管理なし、外来のみ」といった働き方もできます。そうした自分の働きやすい条件での転職を検討してみてはいかがでしょうか。

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