産業医面談で「自分の置かれたポジションで頑張り続ける」ことは自分を追い込みかねないと思った理由【医師転職】

40代の課長の方が産業医面談にやってこられました。仕事ぶりは非常に真面目で、話し方もソフト。部下にも優しい一方、あまり「仕事を振る」ということが苦手なタイプでした。

部長から「体調が思わしくないようだから」と人事に相談があり、人事から「産業医面談を受けるように」と課長に指示したようです。

業務量も非常に多い部署であり、次々に部下が退職していく中で、課長も次第にメンタル疾患が悪化していきました。もともと精神科に通院しておりましたが、主治医からは「もう薬は増やせない。あとは業務負担を軽減するしかない」と言われたそうです。

課長からメンタル疾患の病状が思わしくないと相談され、ついに部長は人事に掛け合い、「彼を異動させよう」という話になったようです。

そこで私が課長と面談をすることになったわけですが、彼は「もともと向いていない仕事であるとは思っていましたが、与えられた仕事を全うしようと思って…」と話していました。合っていない、いないと思いつつも耐え続けた彼のストレスは察して余りあるものだな、と思いました。

その一方で、「自分の置かれたポジションで頑張り続ける」ことも美徳ではあると思いますが、その一方で自分を追い込みかねないものだと改めて思った次第です。実際、すんなりと彼の異動が決まったわけで、ポジションは他にもあったということです。

医師の場合、他の病院へ勤務するまでは「同じ科、同じ顔ぶれ」で働き続けることになります。そこで人間関係がこじれると、とても大変なことになります。また、誰かが辞めるとその業務負担は他の人員が入ってくるまで自分たちにのしかかってくることになります。

そんな時は、「ある程度耐えれば状況が変わる」という見通しがあればなんとか我慢できますが、そうでない場合は非常に高いストレスを感じることになります。我慢し続けることで、もしかしたら心身の不調を感じてくるかもしれません。そのような場合はやはり、別の職場を探す、ということも手だと思います。

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