非体育会系の医師こそ「挨拶や礼儀」「報告・連絡・相談」を武器にすべき理由

私が学生時代、相談役に割り振られた教授から「君は運動部の部活をやった方がいいね」と言われたことがあります。

その時には「はい…」と意図も分からず返事をしましたが、振り返って考えてみると、その真意は「君は挨拶や礼儀がなってないから、部活で揉まれて学び直した方がいいね」という意味だったようです。

実際、私は中学・高校と部活動を一切やってきておらず、たしかに「先輩との接し方」「先輩の面子や立場を考えることの重要性」「礼儀・挨拶が重んじられる世界」といったものを経験してこなかったわけです。

そんな状態で大学に入り、臨床実習(私の通っていた大学では、見学レベルの臨床実習が2年生の時にありました)での立ち振る舞いを問題に感じた冒頭の教授はやんわりと「部活やった方がいいね」とアドバイスしたわけです。

初期研修で顕在化する問題

「挨拶や礼儀」「報告・連絡・相談」ができない私のような研修医がやってきて、指導医の先生はそれはそれは迷惑をしていたと思います。

しかしながら、「2ヶ月過ぎればコイツはいなくなるから」ということで、指導医の先生は優しく「目をつぶる」ことで叱責することなくスルーするということをしてくださっていたようです。

一方で、(特に外科には)バリバリの体育会系の先生は中にはいて、「なんだお前は」とあからさまにイヤな態度をとられていたこともありました。そこですでに、「挨拶や礼儀」「報告・連絡・相談」ができないという問題が顕在化しているわけですが、それでも私はまだ理解していませんでした。

後期研修医になりさらに問題は深刻化する

後期研修となりますと、今までの初期研修医のような「お客さん扱い」ではなくなり、「挨拶や礼儀」「報告・連絡・相談」ができないことで上司・先輩医師との関係性を上手く築けないという問題が深刻化していきます。

加えて、若手医師にありがちな「もう一人前という勘違い」をしており、態度は増長していました。もう私が上司・先輩だったら「なんだこの痛い奴は」と思ったに違いありません。

そんなこともあり、次第に私はその職場で居心地が悪くなり、退職するに至ったと思います。

非体育会系医師へのススメ

ところが、この期に及んでもまだ何が問題なのか、ということを私は理解できず、産業医として「上司との関係に悩む部下の相談」を数多く受けることで、ようやく分かったという次第です。

やはり多いのが、学生時代に部活動などで先輩と揉まれてきているようなことがなく、「挨拶や礼儀」「報告・連絡・相談」がなってないという方が、関係性を上手く築けず、仕事の進め方をめぐって問題が勃発するというパターンです。

そこでようやく、「挨拶や礼儀」「報告・連絡・相談」「上司・先輩の立て方」の大事さを知ったというわけです。このことを知っていれば、もう少し上手く初期・後期研修医時代に立ち回れていたのではないか、と思われます。

逆に言えば、「挨拶や礼儀」「報告・連絡・相談」などが自然にできない非体育会系医師こそ、それを意識して「武器」とすることで病院という世界で上手くやっていけるようになるのではないか、と思うわけです。

もし悩んでおられるということでしたら、そうしたことを少し意識してみることをやってみてはいかがでしょうか。ただ…なかなかそれが上手くいかない、向かない人が一定数いるというのも分かります。実際、私自身もその内の一人です。

その場合は、「勤務医以外の働き方」を模索してみるのもいいのではないかと思います。私はそれで産業医という生き方を選びました。もし同様に転職を検討されているということでしたら、まずはリクルートドクターズキャリア[PR]エムスリーキャリアに相談してみてはいかがでしょうか。

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