「多様性を大事にする社風」と言いつつ「空気を読め」と求めることの矛盾【産業医マニュアル】

とある一部上場の大企業に、常勤産業医として勤務していたことがありました。「ダイバーシティ(多様性)」を重んじる社風と聞いており、入職直後から会議の場などで「先生はどう思われますか?」とたびたび聞かれましたので、「私としましては、こう考えます」「前社ではこうしておりました」「そのようなケースは以前…」などとコメントしておりました。

しかしながら、先輩産業医に後々、「先生、ここにはここのやり方があるんだよ。会議ではみんな、同意してもらいたいだけだから。今後はそうした方がいいかもね」と言われました。

結局のところ、異を唱える、もしくは別の見解を示すということは求められてはおらず、「空気を読んで同意する」ことだけを望まれていたわけです。正直、「ダイバーシティ(多様性)って何?その言葉はどこへ行った?」と思いました。

それ以後、私は「皆さんのご意見の通りだと思います」とだけ言い、問題点の指摘や提案などはしなくなりました。

どうやら同様のことを経験された方は結構いらっしゃったようで、ツイッターでそのようなエピソードをいくつか読みました。「多様性を大事にする社風」と言いつつも、結局のところは「空気を読め」と求められ、「前社では…」といった別の視点での意見には眉をひそめられることもありますので、特に入社直後はご注意いただいた方がいいかもしれませんね。

たとえ「ダイバーシティ(多様性)を認める、重んじる」と言いつつも、その言葉の裏には「空気を読む」「上席の意見に異を唱えることはご法度」ということの方が先行するということは念頭に置いておいた方がよろしいかと思います。

結果、私は大企業の洗礼を受けた後、3年後には転職をしました。結局はそのような場所は合わなかったのかな、と思います。ここらへんは合う、合わないがきっとあると思います。実際、今のような1人産業医体制の中規模な企業の方が水が合うように思っております。

もし同様の洗礼を受け、「合わないなぁ…」と思うようでしたら、リクルートドクターズキャリア[PR]や、エムスリーキャリアにご登録いただき、転職エージェントにご相談いただいてはいかがでしょうか。

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