休業中の社員さんが復職となる場合、「主治医のOK→産業医のOK→企業のOK」という三段階があってようやく晴れて復職、という企業が多いのではないでしょうか。
その一段階目の「主治医の復職許可」を出す診断書・意見書ですが、これには「行間」のようなものがあると思うわけです。
基本的に患者本人が「そろそろ復職できると思うんですよね」と言った場合、「いやいや、まだ早いよ」と内心、主治医として思っていても、その患者の申し出を無下にはやはりできないわけです。
「復職できます」「いや、まだ早いと思うんだよね」「いや、できますって」「……」となった場合、主治医としては「復職可」という診断書ないし意見書を出さざるを得ないように思います(それでも説得してくださる良心的な主治医の先生方もおられますが)。
その結果、「主治医としてはおすすめはできないけど…」という行間を含みながらも、「復職可」という診断書・意見書が出来上がり、企業側へ提出するわけです。
そこで産業医として「主治医の先生は、復職に関してどうお考えとおっしゃっていました?」と質問すると、「まだ早いと言われました。でも、私としては、十分休んだし、できると思うんですよね」というような回答になるわけです。
そうなりますと、産業医としては「うん、主治医の先生も困りながら、行間たっぷりに復職許可を出してくれたわけね」と内心思うわけです。そこで私としては、
・まずは「夜眠れて、朝起きられる」といった生活リズムが整っているか記録してもらう。
・通勤訓練を実施してもらい、実施できているか確認。
といったことを行い、実際どの程度、快復できているのかをチェックさせてもらいます。そうしますと、やはり主治医が「まだ早い」とお考えの場合は、生活リズムもまだ整っていない状態であるようなことが多いです。
ですので、主治医からの診断書・意見書が出た際には、「行間」を含んだものなのかどうかを確認することをおすすめしたいと思います。