産業医面談後に「社員が上司に報告」する際には注意が必要かもしれません【産業医マニュアル】

産業医面談を実施した後、面談を受けた社員が「こんなことを面談で話しあい、就業にあたってのアドバイスをもらいました」と上司に報告をすることがあります。それ報告・相談すること自体はいいのですが、ちょっとそこで注意すべき点があると私としては思っています。

というのも、面談で「産業医がこうしたことをアドバイスしていました」という話の内容を恣意的、自分勝手に受け止めて上司に報告を行うといったこともあるわけです。昨今、ネットニュースがテレビやラジオ番組のタレントさんの発言を切り取り、都合のいいように記事にしているのと似ているな、と思います。

たとえばですが、産業医が「あまり無理はしすぎないように、できる範囲内で業務を行わうようにしましょう。業務内容や量が厳しかったら、上司と相談していくみることをおすすめします」とアドバイスしたとします。

それを社員が「無理しないように、とにかく自分のペースでできる業務内容・量で仕事をするように言われました」と報告した場合、どうでしょうか。文意としては似ていますが、やはり産業医の意見としては異なります。

もしかして、この社員の希望として「マイペースで仕事したい。上司に仕事を次々と振られるようなことを避けたい」というものがあり、自分の希望を叶えるために恣意的に曲げた報告をする可能性もあるわけです。産業医の真意としては、「以前と同様の仕事をいきなりこなすのは無理があるため、上司と相談しつつ無理のない範囲で仕事をするようにしましょう」であるはずです。

実際、上司から「部下からこのような報告を受けたのですが、本当にこのようなアドバイスをされたのですか?」と問い合わせを受けたこともあります。「いやいや、私の意図した発言とは異なっていますよ」と訂正することになり、そうしや経験から面談後には上司にこまめな報告を自分自身で行っているようにしています。

面談した社員の「私の方から、面談内容を報告しておきます」はちょっと危険であるということは念頭に置いておいた方がよろしいかもしれませんね。

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