産業医として社員の方々と面談をする上で、新入社員・中途入社の方々の場合、「何がストレス要因か」ということを言語化することが難しかったり、あるいは業務上、ストレスを感じているにも関わらず「これが当たり前なんだろう」と思ってしまい、面談の中で触れられなかったりすることがあります。
ある異業種からの中途入社の方は、顧客からのクレーム対応が多く対応を迫られることが多かったのですが、「それがこの会社では普通なんだろう」と思っていたそうです。業務量自体はあまり変わらないエリアへの異動となったわけですが、病状がすぐに改善したため、「異動してどのようなことが違います?」と質問したところ、「クレームが激減して、ストレスが減りました」とのこと。
おそらく、勤務歴がそこそこあって、他のエリアを経験していたら「こんなクレーム多いところ、やってられない!」となったでしょうが、異業種でかつ入社歴が浅かったため、そのことを面談でおっしゃることはありませんでした。
また、「自分はこの仕事に向いていない…」と思い悩んで面談に来られる社員さんもおりますが、そこでも「担当している業務が経験の浅い社員に向けではない」イレギュラーな業務となっていないかというところを聴取するべきであります。
そのためにも、社員さんがどのような業務を行っているのか、どの程度の業務量が通常なのかといったことをしっかり把握しておく必要があると思います。