「本音を聞き出す」という役割としての産業医【産業医マニュアル】

ここ最近、人事から「この社員の面談をお願いします」と、人事面談後に依頼されることが多くなりました。

不眠症状などがあり、メンタル疾患が疑われるために産業医面談を、という方もいらっしゃいますが、「人事的に突っ込んで聞きづらい部分があるので、本音を引き出してくれ」という意味合いで面談を振ってくるケースが増加してきました。

「会社にどんな不満を抱えているのか」「上司に対して本当のところどう思っているのか」「異動希望があるとして、どのような希望条件を持っているのか」…などなど、聞き出して欲しいことを事前に伝えられることもあります。

どうやら人事ですと、身構えることも多く、その点「産業医」だと気楽に話せるという方もおり、それを期待して「口を割らせよう」と人事側は考えているようです。

もちろん、産業医としても守秘義務がありますので、社員がNOと言えば伝えられませんが、大体の社員さんは「本当は会社側に知ってもらいたかった」という胸の内を語っているようで、許可取りをすると「伝えていいですよ」と言ってもらえます。

改めて思うのは、こうした話を聞き出す時に、「傾聴・共感」ということです。話をよく聴くという姿勢、そして相手の立場に立って共感すると、やはり話を引き出しやすくなると思います。

もちろん、本音ばかりを会社側へぶつけるのは望ましくありませんが、ある程度オブラートに包んだ上で会社側に伝えますと、「ああ、なるほど。本音はそこか」と理解してもらえ、社員さんも良きに計らってもらえることもありますので、その点、この「本音引き出し屋」としての業務は、意外と私は好きな仕事です。

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