「こんな仕事、無理」と思っていても休職後に考えが変わるケースもあります【産業医マニュアル】

私が産業医として勤務している企業で、会計部門に異動となった方がおりました。その方は会計について全くの素人で、知識・経験もないまま業務に就くことになりました。

同様の状況になった方が以前、「全くルールを知らないスポーツをやらされている気分になった」とおっしゃっていましたが、まさしくそのような心境だったそうです。業務をなかなか覚えられず、ついには適応障害との診断で休職することとなってしまいました。

その当時、「もう会計は絶対無理!」とその社員さんは言っており、異動が必要になるかな、と思ってあらかじめ人事側にはその情報をお伝えしておりました。

しかしながらその後、メンタルクリニックを受診し、カウンセリングとリワーク(かなり手厚くフォローをしてくださる主治医のようです)を経て、主治医の復職許可が出た頃には「元部署に戻ることもできそうです」と言っていました。

そこで、所属長と話し合いをした結果、業務内容・量を調整した上で、元部署へと復帰することになりました。休職間際の体調不良時にはかなり追い詰められており、「絶対に元部署への復帰は無理」と言っていたものの、病状の快復とともに考えが変わるということはやはりあるようです。

ただし、上司・部下間の人間関係が問題でこじれていると、なかなか「元部署で…」とはいかないため、その時は人事的な介入が必要になるかな、と経験的に思っています。

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