「産業医とは何か?」「産業医の業務・役割は何?」という質問に答えることができますか【産業医への転職希望者向け】

私が臨床医から産業医に転職する上での「産業医のイメージ」としては、あまり臨床医と代わらないものでした。簡単に言ってしまえば、「病院で勤務するか、会社で勤務するかの違いだろ」ぐらいにしか思っていませんでした。

もちろん、病院ではないので「診断・治療はしないよな」ぐらいは分かっていましたが、「事例性と疾病性」の違い(「遅刻を繰り返す」「欠勤が多い」「仕事の能率が落ちている」など、上司・同僚などの客観的事実が事例性で、「不眠症状がある」「抑うつ症状がある」などの症状や病気に関することが疾病性)も分かっていませんでしたので、今となっては産業医として非常にお恥ずかしいレベルです。

もしその時に「産業医とは?」といったことをもう少し勉強して入職していれば、迷惑をかけずに済んだのかなぁと思い、今回はこの記事を書いてみたいと思った次第です。

産業医への転職をご希望の先生方にとって、一般論的なことは「そんなことはググればすぐ分かる。知りたいのは、もっと具体的なことだ」ということだと思いますので、それに即したことをできるだけ書いていきたいと思います。

産業医とは?

たとえば「臨床医とは何か?」と問われれば、クリニックや病院で診療に当たる医師、といった端的な説明ができると思います。では、「産業医とは何か?」と訊かれた場合、医師であってもすぐ回答することは難しいと思います。

というのも、産業医科大学などを除いて、大学で産業医についてあまり学ぶ機会がないからです(少なくとも、私は講義で聞いた覚えすらありません)。

あらためて産業医の定義的なところから説明しますが、

産業医とは、事業場において労働者の健康管理等について、専門的な立場から指導・助言を行う医師を言います。労働安全衛生法により、一定の規模の事業場には産業医の選任が義務付けられています。
産業医とは|日本医師会・認定産業医サイト

とあります。まず一文目ですが、「労働者の健康管理等について、専門的な立場から指導・助言を行う医師」というところがミソです。診療ではなく、「労働者の健康管理」「指導・助言」を行う医師という点が、臨床医との大きな違いです。

産業医の役割・業務

たとえば、健康診断の結果で、空腹時血糖、HbA1cが高値である社員がいたとします。その数値をもとに、産業医としては診療を行うのではなく、「受診勧奨」を行うわけです。

それ以外にも、面談で社員から「課長に昇進してからどうも夜眠れなくて。仕事の能率もどんどん落ちているし、一日中鬱々とした気分が晴れない」といった相談を受けた場合も「受診勧奨」を行います。こうした医療的な立場から社員の健康管理を目的とし、指導・助言を行うというわけです。

もちろん、こうした受診勧奨をした上で、その後のフォローアップを行ったり、場合によっては「夜勤禁止」「時間外勤務の制限」などを含めた就業制限の勧告を企業側に行ったりします。

ただ、産業医が企業に対して行えるのは「勧告」であり、命令ではありません。企業側はその勧告に耳を傾ける必要はありますが、あくまでも勧告は勧告です。「○○せよ」と言うわけではなく、「○○した方がよろしいです」といった内容になります。

その他、職場巡視(基本的には月1回以上)を行って職場内の安全に配慮する指摘を行ったり、安全衛生委員会で議題に対して意見を述べたり、禁煙ハウツー的な講話を行って健康に対する意識を高めてもらうといったことも業務内容に含まれていたりします。

大変、大まかな説明で恐縮ですが、産業医の仕事の大筋としてはこのようなものかと思われます。その他、健康経営に積極的に取り組んでいる企業であれば、全社的に「メタボ対策」などといったプロジェクトを推進しているところもあったりします。

もし産業医になろうとお考えでしたら、こうした点を少し頭の片隅に置いておきますと、スムーズに業務にと取り組めるのではないでしょうか。

ただ、産業医の求人を見つけたり、内定をもらうといったことは比較的難しいことであり、なおかつ未経験だとなおさら困難が予想されます。そんな時は、私も臨床医→産業医への転職でお世話になりました「リクルートドクターズキャリア」や、その後の産業医転職でお世話になりましたエムスリーキャリア」といった人材紹介会社にご相談されてみることをオススメします。

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