社員の通院しているクリニックが「いい精神科・心療内科かどうか」の見分け方【産業医マニュアル】

日経メディカルに、「精神科医が考える「いい精神科医」の選び方」という記事が掲載されていました。北里大学医学部精神科学主任教授の宮岡等先生が書かれております。

「既に臨床に携わっている精神科医に、勉強してもらう制度や充実した生涯教育制度が乏しい」という点が指摘されており、そのような中で「この診療はいかがなものか…」というクリニックも増えているそうです。

産業医、特に元精神科医ではない産業医としては、「この治療で果たしてよくなるんだろうか?」と疑問に思う場面も少なからずあると思います。そんな時、社員が通院しているクリニックの見極めについて、この記事では参考になるチェックポイントが掲載されていました。

以下、引用致します。

初診時に怪しむべきポイント

1)最初から同系統の薬剤が2剤以上処方されていないか?

2)自記式アンケートの結果だけで診断していないか?

3)うつ病症状(興味の喪失など)だけ問診した後、「抗うつ薬を飲んで休養を取れば治る」と説明されていないか?

4)薬剤の副作用について説明がない/副作用はないと説明されていないか?

5)夜間や休日は一切対応できないと言われていないか?

診療での対応で怪しむべきポイント

1)生活状況(昼寝など)、嗜好品(コーヒー、お茶など)の頻度を確認せず、睡眠薬を処方していないか?

2)過去の躁状態の有無を確認せず、うつ病と診断し、抗うつ薬を開始していないか?

3)現在の症状ばかり尋ねて、生活歴や長期経過を確認していないのではないか?

4)身体疾患治療薬を含めて、現在処方されている薬剤を確認していないのではないか?

5)悪くなったと言うと薬がどんどん増えていないか?
→精神疾患の症状増悪? 薬の副作用? 退薬症状?
→薬物相互作用の影響(他の薬剤の中止、新たな薬剤開始)?

6)同系統の薬剤が3種類以上処方されていないか?

7)長期間の精神療法やカウンセリングでも改善していないのではないか?
→診断は正しいか? 精神科医の診察は不可欠
→精神療法やカウンセリングの副作用?

…などの点が参考になるそうです。特に長期間で改善していないケースの場合は、「治療に直接関係していない精神科医の意見をセカンドオピニオンとして聞いた方がよい」と推奨されており、「セカンドオピニオンは積極的に求めてほしい」とのことです。

産業医としては、社員が主治医を信頼している場合はなかなか「セカンドオピニオンを…」とは言いづらいところですが、治療に疑義がある場合は、勇気をもって提案することも必要なようです。

非精神科医としては、「薬剤数がどんどんと増えていく」「同系統の薬剤が3種類以上処方されている」という点は分かりやすいところですね。お薬手帳を参考に、チェックすることは大事なポイントかもしれません。

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