産業医になって経験がほぼないといった場合、まずは経験を積む、知識を習得するといったことを念頭に置いて企業を選択すべきであると思われます。
…と言っても、そのような経験年数でありますと、選択肢も狭まってしまいますが、求人票を複数提示されているようなケースで、どこを受ければいいか悩んでいるようでしたら、ご参考にしていただければと思われます。
複数の産業医がいる企業
複数の産業医がいるということは、法定で定めるように、労働者数3,001人以上といったケースが多く、やはり大企業ということになると思われます。
必然的に、人事労務関係の事柄がきちんと整備、ルール決めされていて、どうしたらいいか悩むということは少ないのではないでしょうか。たとえば、面談後の報告フロー、ストレスチェックの進め方なども決められていると思われます。
また、困ったことがあれば統括産業医、保健師などにも相談できるという環境であると思われます。
採用に際しても、「教育できる環境にあるから」と、未経験者であっても採用してもらえるチャンスが「産業医1人体制」のところよりも高いということも言えると思われます。
ベテラン保健師がいる企業
産業医が複数いない企業であっても、ベテラン保健師がいると、色々とサポートしてくれて、円滑に業務を行えることが多いです。
一方で立場上、保健師さんはあまり産業医に「苦言を呈する」といったことがしづらいようですので、あらかじめしっかりとコミュニケーションをとり、ざっくばらんに話すことができるようにしておくことも重要です。
ちなみに、私が内科医であった際、初めて産業医になる時に「リクルートドクターズキャリア[PR]」さんから紹介された求人は、まず「産業医複数名体制の企業」でした。その後、ベテラン保健師のいる企業も紹介され、入職したのはベテラン保健師のいる企業でした。なにか困ったことがあっても、ベテラン保健師に相談でき、なんとか業務を行うことができました。
人事部の社内影響力が強い企業
企業によって、人事部の社内での力というのはそれぞれ異なります。社内での影響力が強いような会社ですと、もちろん人事労務関係の事柄がきちんと整備、ルール決めされているでしょうし、「人事の意見が全然通らなくて…」と困ってしまうことも少ないのではないでしょうか。
もちろん、採用時面接の時に「おたくの人事部は社内での力関係、強いんですかね?」などとは訊けないでしょうから、「メンタル疾患で休職・復職する際に、異動を余儀なくされるようなケースでは人事部としてどうされていますか?」「ストレスチェック後の面談で、本人が異動を強く希望しているようなケースでは、人事としてどのように対処されていますか?」などといったことで間接的に訊いてみるしかないと思われます。
私が二社目に「エムスリーキャリア」さんから紹介された企業は、このタイプでした。実際、経験年数が浅かったので、経験を積むにはよかったと思われます。
以上です。
とりあえずのところ、産業医の採用で未経験と経験済みでは大きな違いがあると思われます。なかなか採用されずに大変かもしれませんが、できることならば上記の点をご参考にしていただけますと幸いです。