医師の働き方改革、「究極的には医療産業改革」という記事で、医師の働き方についてとても分かりやすくまとめられていました。
関東労災病院(川崎市中原区)経営戦略室室長・救急総合診療科科長の小西竜太氏の講演をまとめた記事なのですが、医師の「働き方の多様性」についての説明の中で、小西先生は、「医師の働き方は、1) 空間固定的か、否か 2) 24時間対応が必要か/時間的に自由裁量があるかの2軸で分類が可能」とご説明なさっておられました。
たしかに、将来的にはテレワークなどが導入されてくるでしょうけども、現在ではまだまだ利用している医療機関は少ないのが現状。そのため、1) 空間固定的か否か、というところは置いておくとして、「24時間対応が必要か/時間的に自由裁量があるか」という軸で働き方を考えるのは、とても有用だと感じました。
まず、24時間対応が必要な部門としては、「救急・ICU」が代表的ですね。こちらはシフト勤務で回しているところが多いと思われます。
外科系・内科系の医師は、通常の時間帯での勤務に加え、「患者が急変すれば呼び出される」「当直・オンコール」があるという意味で、「変形労働時間制」に分類されます。ただ、ここも「単独主治医制」なのか、「複数主治医制/グループ診療制」なのかでも分かれてきますね。「単独主治医制」は「変形労働時間制」に分類されやすいでしょうけども、「複数主治医制/グループ診療制」ですと、今度はシフト勤務に近い形になるかもしれません。
一般診療所での勤務・開業医、私も含めて産業医ということになりますと、時間的にはかなり自由になり、「通常勤務」ということになってきます。
こうした中で、「時間的に自由裁量があるか」という見方はとても重要だと私は思います。「24時間、患者さんに対応しなければならない」というところではありますが、救急部門でなおかつシフト制となっていれば、オン/オフがはっきりしています。人員が十分に足りていれば、という前提ですが、「時間的な自由裁量」はその点、ある程度保たれているのではないでしょうか。
一方で、内科系・外科系医師で病棟勤務をしている場合、なかなか「もう時間外だから」と病棟からかかってくる電話に出ないということはできませんよね。その点、「時間的な自由裁量」はシフト制などに比べると低めです。
「業務時間外は、完全にオフ」というレベルで時間的な自由裁量を考えると、マイナー系の科(科や施設によって振れ幅はありますが)や、診療所勤務・開業、産業医などが挙げられるのではないでしょうか。
もちろん、科や業務制度だけで判断はできず、施設のマンパワーや患者数などに大きく依存するところは大きいのですが、それでも「時間的な自由裁量」を主軸に働き方を考える上で重要だと思うのです。
特に、その後何十年と仕事を続けていくこともあり、初期研修後の若手医師がその観点から働き方を考え、どのようなキャリアプランを描くか見直すことはとても大事なことではないでしょうか。
若い内は体力もやる気もあり、ある程度の無理もできます。ですが、いつかその仕事に無理や限界を感じた際、働き方を考え直さざるを得ないこともあると思います。その際、まずは「時間的な自由裁量」を主軸に仕事について考えなおしてみてはいかがでしょうか。
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