後期研修をドロップアウトして産業医になった私が「勤務医として働けない」3つの理由

私は後期研修医時代、ドロップアウトする形で産業医に転職しています。初期研修の頃はまだまだ「お客さん」的な立場ということであったり、あるいは指導医の先生方も「見て見ぬふり」をしてくれたこともあって、なんとなく修了までこぎ着けることができました。

一方、後期研修に入るとその状況が変わってきて、今までの甘い考えでは立ち行かなくなっていったということだと思います。「勤務医の現実」を突きつけられ、結果「あ、これは無理だわ」と思うようになっていったのだと思います。

さらに、私は現在、産業医となっているわけですが、「医師と会社員」という異なる業種での働き方を比較しつつ(誤解なきよう書いておりますが、「医師ばかりが大変」だと思っているのでは決してありません)、感じることもあります。そこで今回は、そのような視点に立ちながら、「私が勤務医として働けない」3つの理由について書いてみたいと思います。

「つながらない」ことの大切さ

勤務時間外の問い合わせや、呼び出しに対応しなくていいという権利のことを「つながらない権利」などと言ったりします。産業医になって「このつながらない権利はとてつもなくQOMLに関わってくるな」と思った次第です。

産業医になって痛感する「勤務時間外につながらない権利」の尊さ
ドイツ在住のフリーライター・雨宮紫苑さんの記事ですが、「欧米の「つながらない権利」が徹底していてすごかった」の内容で、ドイツのホームドクターに「血液検査結果を送って」と依頼したところ、「現在休暇中なので総合窓口にメールしてください。受信した...

さらに、「土日祝日関係なし、トラブルや緊急時には連絡がきて対応しなければならない」という社員さんたちの大変さを聞くにつれ、「つながらない権利を主張しづらいという人たちは本当に大変だ」と改めて思い知らされました。

私が後期研修医だった頃、病棟から「電話がかかってくるかもしれない」と思うだけでも憂鬱でしたし、携帯の着信履歴をちょくちょくチェックするのがくせになっていました。深夜に呼び出しを受けるかもしれないと思い、睡眠の質も随分悪くなっていたように思います。

この「つながらない権利」がしっかりと守られている産業医として働き始めてしまいますと、ここで「また勤務医として働く」のはとても難しいことだと感じています。

院内の人間関係

当直や救急当番などで急患を受け、「さぁ他科へコンサルトを依頼しよう」という段になり、いざ電話をかけると、非常に不機嫌そうな声で対応されたり。あるいは、「じゃあ、あとはウチで診ます」とは決して言わず受け入れ拒否…なんてことも度々ありました。

「そちらが困っている時に助けたり、受け入れもちゃんとしてるじゃないの…」と思いつつ、さらには後期研修医という立場もあってなかなか強く出ることもできず、泣き寝入りなんてことを繰り返し、ストレスを溜め込むということが結構ありました。

非常勤バイトで内科外来をやっておりますと、そんなことが未だに繰り返されています(笑)

同じ科であっても、「助け合い」からは程遠いようなことがありました。シンプルな人間関係に慣れている現在の産業医としての働き方から、このような複雑でストレスを感じやすい人間関係の中で働くのは厳しいなぁと感じています。

延々と続く時間外のカンファレンス

産業医として働く現在、ほとんど残業はなく「定時になったら帰る」というのが染みついています。ですが、勤務医の頃は「定時になった後、他の医師がぞろぞろと集まってくるのを待ってからカンファレンスが始まる」というのがほとんど毎日でした。

受け持ち患者のカンファレンス、癌患者の治療方針を決めるカンファレンス、他科との合同カンファレンス…などなど。毎日のようにありました。

もちろん、「勉強のため」「治療方針を話し合う」ためのカンファレンスの重要性は分かりますが、それでも「業務時間内に時間作ってやれないもんかね…」と思っていました。「時間外にわざわざ始める」ことの理由が分かりませんでした。

「残業代つくし、いいじゃないか」と医長からは言われてたりしましたが、「いや、そういうことじゃないんだよな…」と思っていました。早めに帰りたい、という希望のある私にとっては、やはりこの「延々と続く時間外のカンファレンス」も耐え難いものだと思っています。

以上です。
現在の働き方や、耐えている理不尽なことも、「それが当たり前」になってしまっているとなかなか気づくことができず、指摘されて初めて「あ、変なことなんだ」と思うこともあると思います。

もし上記のようなことに疑問やストレスを感じているということでしたら、労働環境・条件を改善させるための転職を検討するというのも手だと思います。「こんな希望条件の求人なんかないだろ」と決めつけずに、まずはリクルートドクターズキャリア[PR]や、エムスリーキャリアの転職エージェントにご相談いただいてはいかがでしょうか。

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