嘱託産業医のバイトにおける、業務内容・ポジションと必要な「産業医レベル」

「嘱託産業医のバイト」と一口に言っても、その業務内容・ポジション・報酬・必要なスキルは、求人によってかなり異なります。初心者でも十分にこなせる案件もあれば、ある程度の経験と知識がないと難しい案件もあります。

今回は、嘱託産業医のバイトを大きく3つのタイプに分けて、それぞれの業務内容・必要なレベル感・報酬の目安について整理してみたいと思います。これから産業医バイトを始めようとしている方や、次のステップを考えている方の参考になれば幸いです。

タイプ1:法定業務メイン

嘱託産業医のバイトとして最もイメージしやすいのが、このタイプです。従業員数50人以上の事業所では、法律上、産業医の選任が義務付けられています。このタイプの案件では、そうした事業所の選任産業医として雇われることになります。事業所としては、オフィスワーカーが大多数を占めるところを想像してもらえるといいかもしれません。

・業務内容
業務の中心は、安全衛生委員会への出席と職場巡視の2つです。月に1回の訪問でこれら2つをこなすというのが基本的な流れで、場合によっては長時間勤務者を対象とした面談が入ることもありますが、頻度は高くないことが多いです。

・必要な産業医レベル
このタイプは、必要なスキルのハードルは比較的高くないことも多いです。安全衛生委員会への出席と職場巡視は、産業医としての基本的な法定業務であり、産業医研修などで一通りの知識を持っていれば対応できる内容です。産業医初心者が「まず業務の流れに慣れる」という目的で入るには、適した案件と言えます。

・報酬の目安
業務内容がライトである分、報酬も高くはない傾向があります。特に都心部でアクセスの良い事業所の場合、需要に対して供給(応募する産業医の数)が多くなりやすく、結果として報酬が下がりやすい状況があります。1回の訪問で1万円、しかも2ヶ月に1回の訪問のみ、というケースも珍しくありません。しかしながら、産業医バイトの入口として、経験を積む分にはおすすめできると思います。

タイプ2:法定業務メイン+α

基本的な法定業務に加えて、面談対応などの業務が加わってくるタイプです。事業所の規模が大きくなり、従業員数が100〜300人規模になってくると、産業医に求められる役割も広がってきます。

・業務内容
安全衛生委員会への出席と職場巡視に加えて、メンタル不調者への面談、健康相談対応なども業務に含まれてきます。長時間勤務者だけでなく、精神的な不調を抱えた社員の対応も求められるため、面談のバリエーションと対応力が必要になります。訪問日以外にも、オンラインで別途面談を依頼されるケースもあります。

また、製造業などの業種の企業であったりしますと、安全・衛生にまつわる相談を受けることもあったりします(作業手順・内容や作業環境に関して相談をされたり)。このあたりも対応が必要になってくる可能性もあるわけです。この辺も、ある程度の知識や経験が必要になってくる可能性もあります。

・必要な産業医レベル
タイプ1と比べると、求められる産業医としての知識・経験のレベルは一段上がります。メンタル不調者の面談は、単に状況を聞くだけでなく、就業上の措置の判断や、人事・上司との連携の中で対応の方向性を提案していくことも必要になってきます。「面談はしたが、その後どうすればいいか分からない」という状態では対応が難しくなってくる案件です。

産業医としての業務にある程度の経験があり(業務が一通り分かっていて、面談対応も可能など)、一定の自信がついてきた段階の方に向いているタイプと言えます。

・報酬の目安
月1回の訪問がマストで、報酬の目安は月3万〜5万円程度です。オンライン面談が別途発生する場合は、それに応じた追加報酬が生じることもあります。タイプ1と比べると、報酬の水準と業務のやりがいが両立しやすいタイプで、ある程度の経験を積んだ後に「次のステップ」として目指すには適した案件なのかな、と思います。

タイプ3:業務サポート

他の産業医が選任されている職場で、その産業医の業務を補佐・サポートするポジションとして雇われるタイプです。選任産業医一人では業務量が回らなくなってきた際に、追加で雇われることが多いです。

・業務内容
従業員数が300〜500人規模の事業所(大手企業の支社など)で、健診結果の判定業務と面談対応が主な業務となります。「勤務時間内に、健診判定と面談をこなしてください」という形で依頼されるケースが典型的です。

このタイプで特徴的なのは、安全衛生委員会への出席や職場巡視がないという点です。それらの法定業務は選任産業医が担うため、サポートポジションである自分は面談業務に集中する形になります。面談の対象は長時間勤務者、メンタル不調者、健康相談など多岐にわたり、ある程度のボリュームを時間内にこなしていく必要があります。

・必要な産業医レベル
3つのタイプの中で、最も高いスキルが求められる可能性があるのがこのタイプです。次々と面談をこなしていく対応力、健診結果の判定の正確さ、メンタル不調者への実践的な対応力が必要になります。また、安全衛生委員会や職場巡視がない分、「産業医らしい業務の全体像を学ぶ」という点ではタイプ1・2より経験として得られるものが限定的になるという側面もあります。

一方で、面談業務に特化している分、「面談の場数を積む」という目的では非常に効率的です。

・報酬の目安
訪問回数は月2〜4回が多く、1回あたりの報酬は5万円前後が目安です。タイプ1と比べると単純計算でも大幅に高くなり、月10〜20万円規模の副収入になることもあります。報酬・業務密度・スキルアップの観点から、産業医バイトとして一定の経験を積んだ後に目指すべきタイプと言えるかもしれません。

自分のレベルと目的に合ったタイプ選択を

3つのタイプを整理すると、産業医バイトを始めたばかりの段階ではタイプ1で流れを覚え、経験を積んだ段階でタイプ2・3へとステップアップしていくという方向性が、現実的なルートとして考えられます。

いきなりタイプ3の案件に飛び込んで、面談対応に追われてしまうよりも、タイプ1から段階的に慣れていく方が、産業医としての基礎を丁寧に積み上げられるという利点があります。

ただし、「とにかく報酬を稼ぎたい」「面談業務をとにかく経験したい」という方にとっては、タイプ2・3の案件を早い段階から狙う選択肢もあります。自分の目的・状況・スキルに合わせて、どのタイプの案件を優先するかを判断することが大切かな、と思います。

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