産業医として「ゆるく」働いてよくても「不真面目」に働いてはダメな理由

私が産業医として働き出した頃は、さほどネット上にも産業医として働くドクターが情報発信をしているということもなく、手探りで情報を集めて私自身、転職をしました。

それから10数年、SNSを中心に産業医の方々も積極的に情報発信をされており、調べようと思えば産業医の情報を集めることもできるようになりました。

結果、「産業医ってラクそうだぞ」という印象が広まっている一面もあるようです。日々の業務で疲弊した勤務医の先生方の中には、「残業もなければ当直やオンコールもない」ということに魅力を感じることもあるでしょう。

お恥ずかしながら、私自身も「もう勤務医として働くのは無理だろうな」ということで産業医への転職を選択した内の一人です。

ただ、そこで一つ注意しておいた方が良いことがあります。それは、私自身も通ってきた道であり、その反省を忘れるべきではないと思っています。

「クビ」になることもある産業医

産業医の基本的な雇用形態としては、「一年ごとに更新される嘱託雇用」であることが多いと思います。

つまりは、産業医として問題がある、あるいは「高い年収に見合う仕事をしていない」ということであれば、容赦なく「契約更新はしません」と言い渡されることもあるということです。

実際、私自身も契約更新をしない、つまりは「クビ」にされたことがあります。その原因としては、経験・知識不足もありますが、「いい加減な仕事ぶり」が問題であったと思います。

社員さんからの相談や、企業側からの要望に真摯に向き合うこともせず、まさに今振り返れば「給料ドロボー」と言われても仕方のない働き方をしてしまっていたことが原因であったと思うわけです。

「ゆるく」あってもいいけど「不真面目」はNG

産業医の働き方、特に常勤産業医の場合は「1日8時間未満の勤務時間で、残業なし」「当直やオンコールなし」「時間外や土日祝日に問い合わせや呼び出しもなし」といった、勤務医の先生方からすればかなり「ゆるい」働き方ができることが多いと思います。

実際、私も3社目になりますが、いずれもこうしたいわゆる「ゆるい」働き方ができています。ただ、そこで思うのが、「ゆるく」働くのはよくても、「不真面目」はNGだということです。

メンタル不調の社員の対応においても、独善的にならずしっかりと面談後に人事や社員の上司と連携した上で対処するための橋渡し役になり、企業側からの相談があれば迅速かつ丁寧にを心がけて返答やアドバイスをするといったことを心がけています。

何が言いたいかと言いますと、やはり求められている期待値はしっかりと超える働きを見せる必要があるということです。「ニーズに応える」「やる時はやる」ということが見せられないと、やはりお役御免になってしまうと思います。

ただし期待値は企業それぞれ異なる

ただ、企業によって産業医に求める期待値というのは異なります。「法定業務(巡視、健診判定、安全衛生委員会への出席、社員との面談など)だけやってくれればいい」というところもあれば、「法定業務に加えて、メンタル不調者や休職者の対応を積極的にやって欲しい」というところもあります。

かなり期待値が高いところですと、「弊社の健康経営上の問題点を改善できるように、積極的に提言してもらいたい」なんてところもあります。それぞれにニーズが異なっております。

どこでも、「ここがダメだ、こうした方が良い」とビシバシと首を突っ込んでいくのが良いとも言えず、「法定業務だけやったといてよ」といったスタンスの企業でそれをやられると、煙たがられる可能性があります(もちろん、目に余るところは指摘せざるを得ないでしょうけども)。

このあたり、産業医と企業の相性というところでもあります。「どういう仕事をやりたいのか」というところもと関係がありますので、自分と合った企業探しをすることも重要です。

少なくとも、企業が求める期待値を超え、ニーズに応えるということが重要なポイントとなります。その点、「ゆるく」働くことはよくても、「不真面目に働く」のはNGである理由となっているわけです。

もしこれから産業医になろうとお考えということでしたら、このあたりをぜひご認識いただけるとよろしいのではないでしょうか。ただ、産業医への転職は希望者も増え、なかなか難しくなりつつあるというのもたしかです。

とくに未経験者ですとさらに厳しくなる傾向にありますので、リクルートドクターズキャリア[PR]などの転職エージェントのサポートをぜひ受けていただくことをおすすめします。私自身も、こちらのエージェントに毎回のように転職ではお世話になっております。

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