Medpeerの「産ラボチャンネル」にて、「メンタル不調者の復帰時期の見極めが難しい」という相談に対して中央大学ビジネススクール 真野俊樹教授が回答しておられました。
回答の要旨としては、
・本人の発言をもとに復帰時期を判断することが多いため、大袈裟に言ってしまっていたり、あえて症状についての発言を避けていることにより、見極めが困難になる可能性がある。
・オンライン面談ではなく、対面での面談を実施すべき。その理由としては、本人の顔色や動作、あるいは会社に来ることで動悸や抵抗感がないかを確認をできるため。
・精神保健福祉士のフォローを実施してくれる企業もあり、その場合はより本音を引き出してくれる可能性もある。
といったことでした。
「対面」での面談の重要性
「対面」での面談は、やはり重要なポイントだと私としても思います。実際に面談当日、「体調不良で行くことができません」ということで、復職が延期になったという方もおられました。
面談に遅刻して来られた方もおり、理由を聞くと「動悸がして電車に乗っていられず、途中で降りてしまいました」ということもあったりします。やはり実際に「会社に来てもらう」ということは重要だと思います。
また、顔色や表情も重要であり、笑顔も少なく、こわばった表情の場合は「あれ?無理して復職しようとしてないかな?」と思ったりもします。この点、オンラインだと見極めが難しくなる可能性はあると思います。
あとは、どのような生活を送っているのか「生活記録表」をつけてもらって判断することもあります。それで朝、ちゃんと起きることができるのかチェックします。あるいはどれぐらい体を動かしているのか、スマホの歩数記録をチェックさせてもらうこともあります。
「復職できる基準」について企業側とのすり合わせを
「復職できる基準」で、産業医と企業側で認識に乖離があると上手くいかないことがあると思います。
たとえば、産業医が「生活リズムが整っていて、ちゃんと出社できて時短勤務でも働けること」というのが復職の目安と考えていても、企業側が「残業はなくても、フルタイムでしっかり働けること」を基準としている場合、復職が上手くいかなくなるケースはあるのではないか、と思われます。
その点、やはり「復職できる基準」について、企業側との認識のすり合わせを一度はやっておくべきかな、と私としては思います。